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67.家出10
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リハーサルを終え、予約されていたお食事会をキャンセルし圭は自宅に戻る。
蒼が帰ってきているかもしれないと思うからだ。
それに。
蒼がいないし。
けだもが可哀相だ。
真っ暗な玄関を開けると、けだもが嬉しそうに駆けてくる。
お腹が空いているのだろう。
餌をもらっていないと言うことは。
蒼はいないと言うことだ。
「あいつは本当に」
すぐいなくなるんだから。
初めてのコンクールのときも人に気を使って入院していることを秘密にしていた。
大体、友達なんか少ないって言っていたじゃないか。
すぐこれだ。
「友達のところに行くから」って言うときは100%嘘だ。
そんな面倒を見てくれるほど仲のいい友達なんているはずないんだから。
行くとしたら圭の知っている人間のところか実家だ。
しかし、訊ねても誰も知らないと言う返答だった。
本当はいるのに、蒼に頼まれて嘘をついている?
それはありえないことだと思った。
そんな嘘はすぐばれるだろうし。
ない。
「どこ行っちゃったんだよ。蒼は……」
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