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◾️けだも日記1
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飼い主二人。
いつも一緒だったのに。
最近、蒼がちっとも帰ってこなくなった。
蒼って言うのは小さいほう。
おれの世話をなにかと見てくれるやつ。
一緒に寝ると暖かいやつ。
それがちっとも見えないんだ。
しばらく忘れていた。
だけど、ふと真っ暗なところで寝ていて思い出した。
暖かいやつがいないと落ち着いて眠れないから。
どうしちゃったのかな。
狩りにでも行っているのかな?
まあ、おれたちは外に出て縄張りパトロールをしつつ数日出ずっぱりってことがよくあるけど。
蒼はそんなことしたことなかったから。
おれが教えてやろうと思った矢先だったのに。
「ただいま~」
がらがらと玄関が音を立てて響く。
もう一人の飼い主の圭だ。
おなか空いた!
ご飯もらえるかな?
ベッドから飛び降りて駆け寄る。
圭は嬉しそうにおれの頭を撫でてくれた。
「寂しかっただろう?けだも」
そう。
おれ、けだも。
けだもって名前。
本当に気に食わないんですけど。
でも仕方ない。
もうそういう名前って決められちゃったんだから。
病院にいった時とか、大きな声で看護師がそう呼ぶ。
恥ずかしいから辞めてもらいたいんですけど。
台所に行った圭の後をくっついていくと、彼は缶詰を開けるところだった。
ひゃっほ~い!
今日はおれの好きなチキン缶だ!
嬉しいな~。
蒼はバカだから。
猫だから魚が好きだと思っているらしい。
マグロとか、鯛とか、嫌いって訳じゃないけど。
どっちかといったらチキンとかビーフが好き。
この辺は圭のほうがよく分かってくれている。
「ほら。けだも~」
いただきます!
専用ボウルに入れられたチキンをがっつく。
この瞬間がたまらないんだよな~。
もしゅもしゅ食べてふと顔を上げると、圭はいなかった。
あれ。
どこ行ったんだろう?
すっかりきれいに食べ終わってから水を飲んで、その足で圭を探す。
遊んでくれないかな~。
遊びで言ったら蒼よりも圭のほうがうまい。
だけど、圭は忙しいみたいだから。
お気に入りのねずみのおもちゃを咥えて彼を探す。
すると、珍しい。
圭は掃除機を引っ張り出してきた。
掃除の苦手な蒼に代わって、いつも彼が掃除をしていたけど、最近はめっきり忙しいのか、二人とも掃除なんてしてない。
おれは埃まみれになるからしてもらうと助かるんだけど。
「蒼が帰ってきても恥ずかしくないようにさ。おれだって立派に仕事と家事を両立させることが出来るってところを見せてやんないとな!」
なに言っているんだか。
すでに両立できてないんですけど。
じっと見つめると、圭は笑う。
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