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69.別れ4
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圭が出て行くと、店の始まる時間になる。
モップを片付けてきた野木は桜を見る。
「よかったのかよ?言わなくて」
「少し時間が必要だよ。圭も。あの子も」
桜はふと店の奥に視線を向ける。
先ほど、奥に駆けていったけだもが戻ってくる気配はない。
思わず笑ってしまう。
「いいじゃないの。お互い、少し離れて考えたほうがいいよ。いつも一緒では正しい判断も出来ないからね」
店の奥に入っていたけだもは思わぬ匂いに出会う。
安心した。
廊下の奥にある小さな和室の布団の上に眠り込んでいる男が一人。
蒼である。
彼はすっかり夢の世界だ。
昨日、保護されてからずっと眠り込んでいた。
野木に見つけてもらうまでの間、ちゃんとした睡眠も取れていなかったのだろう。
まる一日眠り込んでいる状態だった。
うつぶせで腕を伸ばし、だらんとした格好で眠り続ける彼を見つけて、けだもは匂いをかぐ。
知っている匂い。
けだもは「にゅん」と軽く鳴いてから蒼の側で丸まった。
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