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70.長い夜6
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全部を終えて桜のところに帰ったのは23時を過ぎていた。
店には顔を出さずに、裏口から入る。
桜に与えられた小さな和室。
ここが蒼の住みかになっていた。
広い家は好きではない。
狭いほうが精神的に落ち着くみたいだった。
蒼が帰ると、けだもが嬉しそうに顔を出した。
野木に餌をもらってすっかりお腹いっぱいなのだろう。
ネクタイを緩めただけで布団に寝転がる蒼の側にやってきて「にゅ~」と小さく鳴いた。
「ただいま。けだも」
頭を撫でてあげると、彼は嬉しそうにすりすりしてくる。
久しぶりの仕事。
放浪していたときの体力低下。
精神的なダメージ。
いろいろ重なって疲労の色は濃い。
そのままごろんと寝返りを打って、横になる。
「疲れた……明日も仕事に行かなくちゃ……」
彼はそのまま眠りに就く。
なにをする気力も起きなかった。
「蒼~?帰ったの?夕飯どうすんだ?」
野木が顔を出す頃には蒼は夢の中だ。
「まったく。餓死すんぞ。お前」
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