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73.星音堂幽霊事件11
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その日。
定時になって、職員たちは追い立てられるように帰された。
帰る頃には雨が止んでいたが、空は異様に赤かった。
真っ赤な夕焼けと、雨雲が混ざり合って、なんだか胸騒ぎのする空だった。
追い出された職員たちは一路帰途に着く。
蒼も自転車に乗って、自宅に帰った。
「お帰り~。早かったね。今日は遅番だったんじゃなかったの?」
圭はエプロンをして台所から顔を出した。
今日は圭も早めの帰宅だ。
「ただいま」
上がり込んで、台所の椅子に座る。
「遅番、課長が替わってくれて……」
「水野谷課長が?珍しいね。非常事態のときしか遅番やらないんじゃないの?」
「そうなんだけどねぇ」
引っかかるのはどうしてなのだろうか?
水野谷の言うことは筋が通っている。
だけど、それを彼が言ったことがおかしく感じられたのだ。
蒼は立ち上がる。
「おれ、やっぱり戻る」
「え?せっかく帰ってきたのに」
「だって、気になるんだもん。課長、なんか隠している気がする」
圭は鍋の火を止め、エプロンを外す。
「送ってくよ」
「本当?」
「うん。おれも気になるし」
「うん」
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