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77.二人の関係8
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「生意気だよ!どうせ、人事だと思っているんだろう?」
吉田はむ~っとして蒼を見る。
「それはそうですよね?おれの話じゃないですから」
はっきり言われてしまうと痛い。
「ひどい!!星野さん!なんだか蒼、最近すっごく生意気です~!!」
確かに。
今までだと、立場は逆だ。
蒼のほうが苛められていたほうなのに。
圭とのことで荒波を乗り越えてきた蒼。
少し成長したと言える。
その反面、吉田のほうは進歩がない。
水野谷の分析では、蒼は鈍感だが物事を吸収する力があると見ている。
吉田は、なんとか物事をこなすタイプだが、前に進むのが遅い。
3年を過ぎて、とうとう蒼が吉田を追い越す時期に来ているのかも知れない。
黙って見ていた水野谷はため息だ。
いくら下に職員が入ってきても、いつまで経っても新人みたいに手がかかる子。
それが吉田だ。
恋人である安齋が放っておけないのも頷ける話である。
「吉田さん。キャスティングは決められたものですよ?悪あがきは止めてください」
ぴしゃっと蒼に言われて、吉田はがっくりする。
キャスティングの最終決定なんてまだまだ先の話なのに。
なんだかおかしくなってしまう。
水野谷は咳払いをして、みんなに声をかけた。
「この話は曲が出来てきたらにしよう!去年みたいに、曲からキャスティングをする場合もある。まあ、それまではお楽しみってことだ。分かったな!吉田」
「なんでおれなんですか~!」
半分泣きそうな彼。
隣にいた三浦に慰められている。
「先延ばしでよかったな。吉田」
「だから!星野さんまで!!」
仕事に戻れと言いたいところだが、自分から出した話題だ。
もう少しすれば治まるのだ。
なにをするにも大騒ぎになる星音堂。
水野谷にとったら頭の痛い時期がやってきた。
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