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79.もう一人の来訪者1
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どたばたカップルはしばらくここに滞在すると言っていた。
日本は初めてと言う二人。
満喫したいらしい。
どこか観光スポットを案内しろと言われても困る。
翌日。
圭は目の前でにこにこしている二人を眺めてため息を吐いた。
『おれも暇ではないんだが』
『いいじゃないか。お前の故郷なんだろう?案内してくれよ』
レオーネはブルーノの腰に手を回しべたべたしている。
このバカップル……。
どうしてやろうか?
無償に腹立たしい。
蒼は仕事に行ってしまったし。
どうしようもない。
一人で二人のお守は面倒だ。
それに、こんな場合ではない。
昨晩はホテルに泊まったから安心していたのに。
蒼が出掛けたのと入れ替わりにやってきたのだ。
『勝手に観光でもなんでもしろよ』
『おれたちは日本語がさっぱりなんだぞ?ここに来るのだって大変だったんだから』
『そうそう』
それはそっちの事情だろう。
イライラして切れそうになった時。
玄関のチャイムが鳴った。
『客だぜ?』
『知ってる!』
ぷりぷりしながら玄関に向かう。
なんだっつーんだ!
前からそうだ。
自己中心的にもほどがある。
怒り半分で玄関を開く。
「なんだよ?」
こんな時間に誰だ?
イラっとしたまま顔を出すと、首を竦めた高塚が立っていた。
「ひゃ」
「あ、すまん。なんだ、来る予定だったっけ?」
「コンサート後の打ち合わせ。今日、する約束だったじゃない」
「そっか」
そうだった。
コンサートまでの一週間は準備期間としてもらっていた。
この期間仕事がストップしているので、コンサート明けは忙しくなる。
「圭くん。しっかりしてよね。って言うか、コンサートのほうはどうなっているの?ちゃんと詰めているんだろうね?せっかくなにも予定を入れないでいたんだからね……」
最近、説教ばかりの高塚。
面倒になってくる。
視線を外して、ふといい考えが浮かんだ。
「まあまあ、上がれば」
「うん……」
ぶうぶう文句を言いつつ上がり込む彼。
名案だ。
あの二人のお守。
高塚にもやらせよう。
そのほうが楽だ。
一人で抱え込む必要はないんだから。
「聞いているの?圭くん」
文句を言いながら居間に入った彼は足を止める。
『やあ!圭のマネージャーくん』
「え!ええ?」
彼は圭とレオーネたちとを交互に見つめる。
「どういうこと?」
「早めに着ちゃったんだって。それで日本観光をしたいって。そういうのもお前の仕事になるんだろう?」
「ちょ、ちょっと!!そういうことは前もって言ってくれないと……」
『なに二人でぶつぶつ言ってんのさ?早く行こう!もったいない』
レオーネはにっこり笑みを浮かべる。
「ほれ。やるしかないな。高塚」
「圭くん……」
彼はがっくり項垂れていた。
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