アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
80.家政夫は見た!2
-
『まさか。いくらなんでも、それはないでしょう?』
圭はお昼寝をしていたのか?
はっきりしない返答をする。
「でも!心配なの!本当にショルは東京に行ったの?」
『そう言われても……。高塚にはしっかり三人まとめて連れて行くようにお願いしたし。大丈夫だよ。噂だろう?噂』
「確かに。自分で見たわけじゃないけど……」
『それに。保住さんだっけ?その人だって大人なんだから。自分のことは自分で判断するだろう?仮にもショルとどうこうなったとしても、おれたちがなにか言える立場じゃないじゃないか』
こういう時、圭は結構冷たい。
確かに。
大人の世界だ。
自己責任って言葉くらい、蒼だって知っている。
だけど、もし、仮に不本意な関係になっていたらどうするつもりなのだ。
ショルティは自分たちに関わったことで日本に来ているのだ。
彼がここに現れなければ、起きなくてよかった事実もあるかも知れない。
そう考えると、多少なりとも自分たちにも関わってくることなのではないか?
そう思ってしまうのだ。
「もういいよ!圭には相談しないもん!」
『あ、ちょっと。蒼?』
圭の言葉なんて聞かずに、蒼は通話終了ボタンを乱暴に押す。
どうしたらいいのだろうか?
なんだか居ても立っても居られない。
おろおろして事務室に戻る。
すると、中には星野と三浦の姿がなく、他のメンバーが書類を見て睨めっこしていた。
「あれ?星野さんたちは?」
自分の席に座る。
尾形が答える。
「あの写真を設置しに行ったぞ」
「そうですか。……って言うか。どうしたんです?」
蒼はそこでやっと気が付く。
みんながなにやら悩んでいることを。
「なにかあったんですか?」
次に答えたのは高田だった。
「いや。課長から電話が入ってさ。会議で使うはずだった資料を忘れていたから届けろって言うんだ」
氏家が続ける。
「しかし。星音堂の車は課長が乗って行っちゃったし。なんだか自分の車は出したくないしで。この書類をどうやって届けようか思案していたところだ」
書類のお届け。
課長は本庁に行っている。
蒼は手を鳴らす。
「おれが届けます!」
「へ?」
「お前が?」
「おれ、自転車ですから。本庁もすぐだし」
それに。
本庁に行きたい理由はもう一つあるから。
「いいのか?蒼?」
尾形は申し訳なさそうにしつつも、内心「ラッキー」と思っている様子だ。
デスクワークばかりだと、外出するのは面倒になるものだ。
できれば行きたくないのが本音だ。
脇にいた氏家も高田も吉田も同様である。
「じゃあ、蒼にお願いするか」
「いいんですか?」
蒼は目をキラキラさせた。
「いいんですかもなにも。こっちからお願いしたいくらいだから」
意図が分からない職員たちは疑問符だらけ。
しかし、蒼は書類を受け取ると嬉しそうに出掛ける準備をする。
「課長は1号館西棟1階の305会議室に居るそうだ。ノックをして入ってもいいってことだったから」
氏家の説明を聞きながら、彼は立ち上がる。
「行ってきます!」
鼻歌まじりの蒼。
送り出した職員たちは呆然と見送る。
「どうなってんだ?」
「なんか他の理由があるんでしょうか?」
尾形の問いに吉田も首を傾げた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
602 / 869