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80.家政夫は見た!4
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ビックリしてきょろきょろすると、「こっちだ。バカ」と更に罵声を浴びせられる。
はっとして振り返ると、カウンターのところに針金男、安齋が立っている。
彼は不機嫌この上ない顔をしていた。
「あ、安齋さん」
「気安く呼ぶな」
「す、すみません。でも、あの!」
彼は仁王立ちでじっと蒼を見る。
「何しに来た?」
「いえ。えっと。あの。室長さんは……」
すると、蒼の言葉に反応したのか?
安齋の後ろに座っていた大柄の男の雰囲気が代わる。
ぎく。
「田口。まあまあ。落ち着いて」
大型犬みたいな男なのに。
田口と呼ばれた男はずんっと落ち込んでいるようだった。
その様子を横目で見ていた安齋は大きくため息を吐いて通路に出てくる。
そして、おろおろしている蒼の首根っこを掴まえると、無言で引っ張った。
「わわ!あ、あの!すみません。え?なに?」
どんどん歩いていく安齋。
歩幅が違うせいで、蒼は引きずられるようだ。
どこをどう歩いたのか分からないうちに、気付けば食堂の椅子に座らされていた。
「少しは遠慮しろ。田口の前で」
蒼は首を竦めて座っている。
「すみません」
「その、とりあえず謝っとけみたいな謝り方はなんだ?」
なんで自分が怒られてしまうのか?
吉田はいつもこんな目に遭っているのかと思うといたたまれなく感じた。
「すみません」
「まあいい。で?なんでお前が室長に用事があるんだ?」
「あの。えっと……」
蒼はびくびくしながら安齋を見る。
「保住さん。なんだかショルに付きまとわれているとかなんとかって聞いたので……大丈夫かなって……」
「大丈夫なわけないだろうが!」
一喝するような言葉。
ビックリして首を竦める。
「すみません」
彼は呆れた顔で蒼を見る。
「あの男は本当に名だたる新星マエストロなのか?常識はずれにも程があるだろう。こともあろうに今日まで室長を引っ張りまわしているんだからな」
「きょ、今日まで?」
「そうだ。室長はお休みだ。マエストロのお相手だそうだ」
「え?」
ショルなら遣り兼ねないだろう。
自分にだって突然案内しろだの言ってきたのだ。
保住に対する馴れ馴れしい態度を見ても一目瞭然だ。
そう言った申し出をするのは十分にありえることなのだ。
しかし、それを受ける保住も保住だ。
いい大人なのだから。
そう思って、はったと気付く。
これでは圭と同じ思考だ。
いけない、いけない。
自分はそういう部分は圭とは違うんだから……と首を横に振る。
「保住さんは、どうしてショルに付き合っているんですか?」
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