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80.家政夫は見た!8
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「安齋さん……。元気出してくださいよ」
帰り道。
運転する気力もない安齋の替わりに、蒼はハンドルを握っていた。
横目でちらちら見るけど、彼はなんだか自信喪失だった。
自分の予想とは違う展開と言うのものに適応できないらしい。
蒼なんて、毎日が予想外だから。
こんなことは慣れっこだけど。
安齋のように、毎日のことを綿密に考えている男にとったら不可思議な出来事だったようだ。
「おれは。なにをしていたんだろうか」
ふと安齋が口を開く。
「へ?」
しかし、彼は蒼の存在なんか忘れたようにぼんやりと続けた。
「田口は室長にぞっこんだ。それで一緒に異動してきたんだ。あいつはいつも室長の隣にいて。それで……。なのに。こんな結末かよ?」
安齋と言う男を蒼は詳しくは知らない。
だけど、落胆している姿を見て、最初は自分の予想が外れたことに対する落胆だと思っていた。
しかし、どうやら、そればかりではないようだ。
意外だった。
彼は田口と言う男のために落胆しているのだ。
蒼は黙って彼の横顔を見る。
「あいつ。どうするかな。知ったら……」
本当だ。
どうするのだろう?
話を聞くと、田口は随分と保住に執心の様子だ。
ショックは大きいだろう。
蒼はなんとも言いようがない。
人の恋路に首を突っ込むとろくなことにならない。
その言葉に、毎回後悔させられる。
興味本位で人に興味を持つことは今後、控えたほうが身のためなのだろう。
圭の言葉は身に染みた。
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