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82.不幸はまだまだ続く1
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「あいたたたたた」
突然の声に星音堂事務室内は一瞬、静寂に包まれる。
声の主は星野。
彼は椅子から立ち上がろうとして、腰を抑えた。
「星野さん?」
隣にいた蒼はぽかんとしている。
「いてえ!な、なんだ?これ?」
「ぎっくり腰ですか!?」
吉田は笑った。
「笑ってんじゃねーぞ!こっちは痛いんだから……」
ぎっくり腰とは突然の出来事だ。
みんなは笑っているけど、本人はそれどころじゃないらしい。
水野谷は呆れて星野のところにやってくる。
「病院に行って来い。おれがいい整形を紹介してやるから」
「課長?」
「おれもそろそろお世話になる年だからな」
彼はそう言うと、財布から診察券を取り出した。
診察券には『緑の丘整形外科クリニック』と書かれている。
馴染みのない病院だ。
「最近、年寄りの間で流行っているらしくて、随分繁盛しているぞ」
「年寄り情報、早いっすね」
星野は冷や汗を拭いながら引きつった笑みを見せる。
水野谷には付き合ってられないと言うところだろう。
「ここの先生は医大出身だが、若い先生で、なんでも最新の医術を持っていてな……」
長くなりそうだ。
蒼は診察券を取り上げて、さっさと電話をする。
「そんなに混んでいるなら連絡入れておいたほうがいいですよね」
途中まで話していた水野谷も我に返る。
「そうだな。予約は難しくとも、連絡しておいたほうがいいな」
「ですよねえ」
「蒼は気が利くな」
氏家は意図を理解して苦笑する。
「あ、もしもし?あの、急患なんですが診てもらえますか?」
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