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84.暗闇10
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それを見送って、圭は思考をめぐらせる。
自分で責任を持ってやろうと決めたことだ。
頑張るしかないのだ。
もう腹を括るしかない。
この1ヶ月は楽器には触れない。
むしろ、別なことで鍛錬を重ねるいい機会なのかも知れない。
何事にも貪欲にならないといけないのだ。
どんなことも糧にしていく。
それくらいの音楽家にならないと。
明日からは桜のところに行こう。
そして、彼女のことをよく観察して、どうしたらあんな音が出せるのか研究しよう。
蒼に家出されてはたまらない。
目標さえ決まれば頑張れる男。
それが圭だ。
足取りは軽くなる。
ともかく。
今日はまず帰ったら、けだもと遊んで。
楽譜の整理をして。
わき目も振らず駆け抜けてきた、ここ最近の自分の演奏を振り返ってみよう。
まずはそこからだ。
「よし!」
圭は思う。
自分は。
蒼を始め、人に恵まれていると。
悩んでいるとき、こうしてヒントをくれる人たちがたくさんいるのだ。
頑張ろう。
彼は星音堂を後にした。
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