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85.主夫の1日1
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起床。
6時。
夜更かしをしない圭の一日は早い。
元々、早起きの体質だ。
そういう点で言えば、蒼のほうが朝は苦手。
仕事があるから、なんとか起きているものの、休みの日は昼間近くまでぐ~たらしてしまうタイプだ。
目覚ましが鳴る10分前。
けだもの肉球で目が覚める。
彼もまた、規則正しい生活だ。
毎朝、6時前になるとお腹がすくのでこうして起こしに掛かってくる。
最初は、頬をなめたり、「にゅ~」と小さな声で鳴いてみたりする。
それでも起きないと、こうして手で頬を突いたり、鼻をくっつけてきたりするのだ。
更に起きないときはもっとひどい。
ジャンプして飛び掛ってこられるとどうしようもない。
けだもも大人だ。
もうゆうに4キロは越えている。
そんな物体が頭上から降ってくるのだ。
たまったものではない。
肉球で突かれた時点で起き上がったほうが得策だと気が付いたのだ。
まだまだ夢の中の蒼を置いて、起きだす。
けだもは赤いリボンを揺らしながら嬉しそうについてきた。
やかんを火にかけ、そしてけだもの朝食の準備。
レトルトの封を切り、お皿に盛り付ける。
作業の途中で待ちきれないけだもが手を出してくる。
「ちょっと、待ってよ」
「にゃ~!」
けだもはシンク台に手をかけて背伸びだ。
こうしてみると縦に長い。
笑ってしまう。
「はいはい。ほら。こっちだよ」
水のボウルも交換して、食事を置く。
けだもは一気に駆けてきて餌に口を付けた。
「食いしん坊なところは蒼と一緒だな」
その間にコーヒーを入れ、蒼のお弁当を作る。
蒼はお子様だからハンバーグが好きだ。
卵焼きと、ハンバーグと。
それからトマトにブロッコリーを入れて。
梅干は肝要だ。
これこそお弁当の醍醐味。
見た目は可愛くないけど、ハンバーグだって手作りなんだから。
蒼は冷凍食品でごまかしちゃうほうだけど、自分は違うのだと自信を持っている。
全部手作り。
冷凍は使わないのだ。
「よし!」
お弁当を作りつつ、朝食の準備も行う。
左手は相変わらず包帯まみれだけど。
指先が使えないわけではない。
痛みも随分軽くなっているので、ある程度の作業なら苦にならなかった。
大根と芋の味噌汁。
卵焼きの残りに大根おろしをつける。
蒼の好きな浅漬けと。
ご飯を用意する。
「よし!」
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