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86.二人の時間1
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星音堂のイベントはここから立て続きに入ってくる。
まずは市制100周年記念音楽祭。
その後に星音堂文化祭が控えているのだ。
星音堂文化祭では、自分たちもミュージカルを行わなければならないので、練習を開始しなければならない。
今日のミーティングでは本格的な練習日程が発表された。
「去年同様、基本的に練習は連日になる。遅番組は遅番の仕事を行うこと。それ以外の職員はみんなで21時まで練習」
水野谷の発表に、一同がげっそりだ。
それじゃなくとも、市制100周年記念音楽祭が間に入ってくるので、忙しいのだ。
みんなの気持ち。
水野谷にもよく分かることだ。
「本当にすまないと思っている。みんなには負担をかけることになるから」
すまなそうにしている彼を見ると、言いたい文句も出てこない。
氏家は首を横に振る。
「課長だって大変なんです。おれたちが文句を言っている場合ではないでしょう」
彼はそう言って、みんなを見渡す。
氏家の言いたいことは分かる。
自分たちが辛い以上に水野谷が大変なのだから。
去年のミュージカルが好評だったおかげで、今年はそれ以上のものを求められるのだ。
市長からも期待されていると言う。
水野谷の立場上、責任は重く圧し掛かってくるのだろう。
自分たちは、自分たちのためだけではなく、水野谷の、市民の人のために頑張らなければならないのだ。
「ただ、たまには文句も言わせてくださいよ。じゃないとストレスが溜まります」
高田の言葉に水野谷は笑う。
「それもそうだ。おれもたまには言うかも知れない」
「言いたいことを言って、乗り切ったほうが賢いと思いますけど?」
星野の同意に、他の職員たちも頷いた。
「みんな。すまない。協力してくれると言うだけで心強いよ」
水野谷は少し間を置いてから、楽譜を取り出す。
「これが今回のミュージカルの楽譜だ。前回同様、まだ途中までになっている。これからどんどん、続きが来ると思うから、まずはこれを見てもらいたい」
三浦が席を立ってそれを受け取り、一同に配る。
蒼は楽譜を開いてため息を吐いた。
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