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89.灰かぶり姫8
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圭の言葉は本当だった。
1時間も仮眠を取った圭一郎はいつも通りに元気になっていた。
一体、どういうことなのだろうか?
蒼には疑問だ。
関口の家系は睡眠をまとめて取ると言うことに関して無頓着らしい。
圭もそうだから。
眠くなったら寝る。
そんな感じ。
だから、朝起きられないってこともあるのだろうけど。
まあ、今のところ。
圭は主夫をこなしているので、規則正しい生活を送ることが出来ているが……。
「では、宜しく!」
元気いっぱいの圭一郎に反して、星音堂職員たちはげっそりだ。
星野が抜けた分の仕事負担も大きくなっていたからだ。
彼が体調不良で抜けて、代役として圭が立つことが発表され、練習会場は多いに沸く。
なにせ、去年もこのイベントで二人の関係が暴露されたのだから。
これに関わっているスタッフはみんな、二人の関係を知っているのだ。
プライベートで恋人の二人がミュージカルで競演。
スキャンダルな扱いなのだろう。
横川も愉快そうにしている。
神崎は「念願かなった!」とばかりにはしゃいでいる始末だ。
「お前に同情するぜ。お気の毒様」
宮内に慰められてもいいことはまるでない。
圭はがっかりした。
やっぱりやめておけばよかったかな?
そう思った。
しかし、練習が始まるとなんのその。
やはりステージに上がるのが好きな人種なのだろう。
専門外とは言え、圭は難なく王子役をこなした。
「星野くんには悪いけど、やっぱり圭くんの方が様になるねえ」
柴田は笑って横川に耳打ちする。
「人事だとなんとでも言えますよね」
二人は顔を見合わせて苦笑する。
腰を痛めた上に、圭と比べられ、星野は踏んだり蹴ったりである。
しばらくは休んだほうがいいんじゃないかな……。
吉田はそう思った。
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