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91.家族に病人がいるということ6
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結局。
精神的に追い詰められている圭が運転するのは危ないと言う結論に至った二人。
最初は蒼が運転をし、近くなったら彼に交代すると言う作戦に出た。
圭一郎の病状ももちろん心配であるところだが、本当に心配なのは圭のこと。
蒼はなんだか気分が滅入っていた。
東京に入り、まずは圭の実家に立ち寄った。
けだもをおいていくためだ。
彼は始めての場所で警戒した様子があったが、すぐに馴染む。
自分で気に入った場所を見つけると、そこに丸くなった。
関口家では他の動物を飼っていないかったことが幸いしたらしい。
他の動物の匂いがあると、しばらくは警戒したままうろうろすることになる。
そんなけだもを残していくのは心配になってしまう。
だが、すぐに馴染んだ様子の彼をみてほっとした。
留守番をしているお手伝いの人に餌を預け、けだもの簡単な取り扱いを説明する。
ようは放置しておいてくれと言うことと、トイレをしたらとってくれるように伝える。
また、餌はおいておけば好きなときに食べるので、悪戯をしない限りは放っておいて欲しいと伝えた。
30代後半の女性は神妙な面持ちで頷く。
彼女にとったら猫が相手でも、雇い主の家族の家族に当たる猫だ。
無碍には扱えない。
そういうことなのだろう。
けだもを彼女に預け、二人は圭一郎が入院している大学病院に直行する。
時間はお昼近くになっていた。
「もう手術は終わっただろうか?」
圭は蒼白な表情で呟く。
蒼はそれには応えず、ただ黙って前を向いていた。
ここで、ああだこうだ話しをしても気持ちが不安になるだけだ。
そんな気がしたからだ。
圭一郎の病状はどうなのだろう?
緊急手術を受けていると聞いている。
背中が痛むって。
以前に栄一郎から聞いたことがある。
背中の痛みは内臓疾患からもくると言う話。
背中よりの内部に納まっている臓器に不具合が生じると背中が痛むことがあるって。
ゆっくり駐車場に入る車。
なんとなく生きた心地がしなかった。
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