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92.家族で温泉旅行2
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「温泉旅行の件なんだけど」
実家でそう切り出されたとき、蒼はなにごとかと思った。
父親が改めて真面目な顔で話しをする様子を見ていると、ただ事ではない気がしたからだ。
少し緊張した面持ちで、次の言葉を待つ。
「……」
「陽介たちも連れて行こうかと思って」
「え?」
意外な言葉。
蒼は一瞬、言葉を失う。
「圭一郎たちも子どもたちを連れて行くと言っていたから。せっかくだし。両家の親睦会と言うことで、陽介たちにも同行してもらおうと思っているんだ」
「そ、そうなの?」
蒼は空を見る。
「そうなの。この話しをしたら、陽介や啓介も一緒に行きたいって言い出して」
「意外!」
びっくりだ。
あの二人がこういうイベントに参加したいなんて。
目を丸くしていると、陽介が顔を出す。
「なんだ。蒼。来ていたの」
「うん。って言うか!陽介も来るの?温泉」
「行く、行く。だって父さんがお世話になってる世界的なマエストロ。会ってみたいもの」
「そっか……」
そういうことか。
ならいいけど。
なんだか、以前、圭と鉢合わせしたときの雰囲気が思い出される。
また険悪にならないといいんだけどな……。
蒼はお腹が痛くなるのを感じる。
「啓介も行くってさ」
「そ、そうなんだね」
そっか。
そうなのだ。
蒼はにこにこしている栄一郎や、空を見て大きくため息を吐いた。
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