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92.家族で温泉旅行3
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温泉旅行の日は、あっという間にやってくる。
圭と蒼は直接、自宅から直行することになった。
けだもは……と言うと、高塚が留守番になった。
最初は、自分だけが留守番っておかしいって怒っていたが、家族同様に扱われている有田ですら辞退していると言う事実を聞いて、ほっとしたらしい。
素直にけだもと自宅の留守を引き受けてくれた。
「高塚くんには悪いことをしちゃったね」
圭の横顔を見る。
「本当だったら連れてきたいところだったけど……」
「お土産買っていこうね」
「そうだな」
自宅から温泉までは車で20分程度だ。
圭一郎たちは新幹線でやってきていて、もう先についていると言うことだった。
熊谷家は熊谷家でまとまって行くと言う話だったので、こっちは二人だが……。
なんとなく気持ちは晴れない。
大丈夫だろうか?
本当だったら、関口家初の家族旅行なんだし。
もう少し喜んでもいいところなのだろうけど。
圭も少なからず表情が固い。
「緊張しているの?」
「緊張するよ」
圭は苦笑する。
「家族で温泉なんてビックリだ。それに、蒼の親御さんたちも来るしね」
「ごめんね。せっかくの家族旅行が」
「そんなことはない」
「でも、4人で旅行ってしたことないんでしょう?」
「そう言う蒼だってそうじゃん」
確かに。
確かにそうなのだ。
熊谷家もそう。
結婚当初は、栄一郎が医師と言う立場から、なかなか自由にならなかった。
そんなこんなしている内に、空が入院してしまい、家族は3人になってしまった。
その後、自分は家を出たし。
みんなで旅行をすると言う機会はなかった。
最近では、夫婦で旅行はしているみたいだけど。
自分たちも一緒って言うことはなかった。
「確かに。そうだった」
「でしょう?まあ、両家で行くって言うことにはなっているけど、お互い、初めての家族旅行って考えて気楽にやろうぜ」
圭は笑う。
そうだよね。
お互い、初めての家族旅行か。
少し重い気持ちが軽くなったように思われる。
その後、二人は高塚のことを心配しながら、目的地に到着した。
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