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92.家族で温泉旅行8
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旅館のゲーセンは小さいものだった。
それはそうだ。
旅館が維持するだけのものだ。
本格的なゲーセンとはわけが違う。
一昔前のタイプのプリクラや、ダンスゲームなどが置いてある。
「懐かしいー!これ、小学校の頃に流行ったな」
啓介はダンスゲームに駆け寄ってさっそく試している。
朱里はと言うと、彼女は太鼓を叩くゲームにまっしぐらだ。
取り残された、陽介、圭、蒼はどうしたもんかと周囲を見渡す。
なにせ、気まずい。
なにかめぼしいものを見つけて、この状況から逃げ出したいと言う気持ちがありありだった。
「あ、あれ」
一番に声を上げたのは圭だった。
「なに?」
「卓球だ」
「卓球!」
はっとして顔を見合わせたのは陽介と圭。
「勝負!」
「望むとろこだ」
「勝ったら今晩は蒼と寝かせてやる」
陽介はラケットと手に取ると、圭にびしっと差し向ける。
毎晩、一緒ですけど……と思いつつ。
「いいだろう。では、条件は一緒で」
「よし!」
気が合うのか、合わないのか?
考えることも似ているのだろう。
同じタイミングで構える様は笑える。
啓介、朱里、蒼はいそいそと集まる。
「蒼ちゃんも大変ね」
朱里は苦笑した。
「そうなんだよねえ。本当に」
似たもの同士。
定番の卓球大会の開催だ。
「おれ審判ね!」
啓介は嬉しそうに二人の間に立つ。
「ルールはちょっと分からないし。バレーみたいに、先に25点とったほうが勝ちにしようよ」
「ジュースはあるの?」
「あったほうが面白いよね」
「そうかも。なかなか決まらないのが楽しいわよね」
「ちょ、ちょっと。二人とも酔っているし。あんまりなことは出来ないんじゃないの?」
啓介と朱里が盛り上がる中、蒼が口を出すが、陽介も圭も「それはいい」と声を上げる。
「圧勝してやる!」
圭の言葉に陽介は鼻を鳴らした。
「それはこっちの台詞だ」
二人は火花を散らす。
「では、始め!」
啓介の声で、『温泉で蒼と一緒に過ごせる権利獲得、卓球大会』が始まった。
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