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93.陰り4
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「ただいま……」
蒼の元気のない声に反応して、けだもと圭が顔を出す。
今日は家にいる日だったようだ。
「どうしたの?蒼?」
落ち込んでいる彼の顔。
びっくりしてしまう。
「蒼?」
「……圭~!!」
蒼は圭に抱きついて泣き出す。
「どうしたの?なにかあった?」
「ふぇ……ん」
けだもは不思議そうな顔をして蒼を見上げていた。
しばらく落ち着いてから、圭がコーヒーを煎れてくれた。
なんだかほっとした。
我に返って辺りを見渡すと、自分の家だったから。
少しほっとした。
人間、自分のテリトリーにいるときが一番、落ち着く。
「へー!ツイッターってそんなに威力あるんだ」
「感心している場合じゃないじゃん」
ショック受けているんだからと、蒼は付け加える。
「ごめんって。でも。金子がねえ」
「競演するって言っていたよね?」
「うん」
「変な人だよ!やめたほうがいいよ」
「蒼……」
圭はふと夕方の番組を思い出す。
「そうかも知れないね。そうかも。でも……」
「なに?変な人だって圭も知っているんでしょう?」
「変って言うか。なんなんだろう?」
圭はふと、イラっとしながらも、最後まで見たあの番組を思い出す。
「圭?」
「いや」
なんなのだろうな。
あの人。
なんか。
変だったな。
違和感?
なんだったのだろう?
首を傾げる圭。
話しにならない。
なんだか余計にイラっとした。
こういうときは、蒼の気持ちをすっかり受け止めてくれればいいのに。
なんだか話す気がうせた。
蒼はむっとしてコーヒーを飲み干した。
「お風呂に入って寝る!」
「蒼……」
なんか気に障ること言ったかな?
圭は首を傾げる。
なんとなく気が重い夜だった。
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