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94.夢見たものは4
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翌日。
二人はけだもをお留守番させて、揃って上京した。
金子のスケジュールは事前に高塚に調べさせた。
東京駅に降り立つと、そこには高塚が待っていた。
「悪いな。仕事でもないのに」
「そんなことはないよ。仕事のパートナーに関することだったらおれも関わらないといけないでしょう?」
彼はそういうとにっこり笑顔になる。
「なんだか大げさになるな」
圭は苦笑してしまう。
昨日は息巻いていたのに。
東京なんてあまり来たことのない蒼はカッチンカッチンに緊張している。
「えっと。えっと」
きょろきょろしている彼。
高塚は蒼の手を引っ張る。
「金子は、今日はスタジオにこもって練習中のようだよ。しかも、ラッキーなことに、駅の近くのスタジオだから。歩いていけます」
「そうなんだ」
「高塚くん、ありがとう」
本当にありがたいことだ。
蒼はそう思う。
「会ったらなんていうの?蒼ちゃん」
「え?えっと。その」
あんまり考えてはいなかった。
だから悪いのだ。
きっと。
星音堂を案内したときも、大してなにも考えていなかったから。
だから金子に突かれたのかも知れない。
しかし。
よく考えてみると、どうして星音堂に突っかかってきたのだろう?
「どうしてだろう?」
「なにが?」
高塚が蒼の顔を覗き込む。
「ううん。いや。なんでも……」
そうだ。
なんでなのか。
聞いてみたい。
そう思った。
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