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96.二人旅4
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その後、彼から渡されたスケジュールは、水野谷の意向もあって作られたと南は説明した。
本日は、この後にホールの施設見学を行い、ホールの概要についての説明を受ける。
明日の午前中は、ホールの実際の使用状況や、歴史などを教えてもらいつつ、南の行っている業務を実際に見学させてもらう。午後は、ホールで行われるピアノの演奏会を鑑賞させてもらい、帰宅という流れのようだ。
盛りだくさんだが、この『らららホール』を理解するうえでは効率のよいプランのように見えた。
「ここは大きな鏡があるので、特にダンスや演劇の団体に人気の部屋です」
大きく開かれた練習室はゴシックなつくりになっていて雰囲気がよい。
壁に大きく設置された鏡に自分たちが映っていてなんとなく間抜けな感じがした。
星音堂にもこういった部屋はあるが、規模が違う。
練習室でも、かなりの人数が収容できる部屋だ。
「ここは何名くらい入るんですか?」
「そうですね。一応、椅子などの数からいうと70名程度は入るようになっております」
「すごいですね」
三浦は、はーっと声を上げる。
「関東圏ではこれくらいの規模はざらですよ。むしろ首都圏からくらべると恥ずかしいくらいです」
「家はもっと小さいしね」
蒼と三浦は顔を合わせる。
しかし、南は苦笑する。
「規模は問題ではありませんよ。地域性もありますし。このくらいの大きさがないと、なかなかさばけないのが実情です」
「そうなんですね」
「うちのホールの利用団体の平均人数は100名近い規模のものが多いんです」
「へー!」
それはすごいと蒼は思った。
星音堂にやってくる団体は多くても100名程度。
大ホールを利用するとなると、複数の団体が合わさる場合も多いが、100名を超える利用者はめったにいない。
「やっぱり違うんですね」
三浦も感心している様子だった。
その後も南の説明は続く。
ここのホールのコンセプトであるゴシック調のデザインは細部にまで浸透している。
練習室の鍵を一つとっても、お城の鍵のように見えた。
自分たちのホールの鍵は、世間一般のデザインのものだ。
なんとなく、こっているのを見ると高級感を覚える。
こういった、ちょっとした気遣いが、ここのホールの質を上げているのだろう。
若い人から、年配の人まで、悪い気はしないつくりになっているのは間違いないことだった。
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