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97.マエストロの復活6
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羽根田重工の社長と食事だなんて夢物語のようなメールを受けとり、圭は首を傾げた。
「どういうことだ?」
自宅でけだもと夕食の用意をしていた圭。
何度も携帯を見返す。
結局。
夕飯は外で食べるということは分かる。
せっかく作った食事も台無しだな。
圭はフライパンに入っているチキンのバジルトマト煮を見つめてため息を吐く。
と、チャイムが鳴った。
金曜の夜の来客は珍しい。
高塚?
いや。
今日はくるなんて聞いていない。
明日は圭一郎の演奏会に自分も行くつもりをしていたので、仕事はしばらくオフなのだ。
けだもが一目散に玄関にかけていく。
「はいはい」
面倒に思いつつ、玄関につくと、扉は開かれ、そこには圭一郎と有田が立っていた。
「泊りにきてやったぞ」
意味不明だ。
圭一郎は偉そうに圭を見る。
いつものことだ。
苦笑してしまう。
「ふつうは、泊まらせてくださいの間違いなんじゃないのか?」
「圭くん」
有田は後ろで申し訳なさそうにしている。
「ホテルの予約はしているんですけど。どうしても、ここに泊まるってきかないもので……」
「なんだかいい匂いがするぞ!」
圭一郎は嬉しそうに飛び跳ねて上がっていく。
脱ぎ散らかした靴を見て、子供と同じだなと思った。
「有田さんは一生、あいつの子守りですね」
「そう言わないでください」
彼はにこにこしている。
好きなのだろう。
圭一郎が。
「自分はホテルに戻ります。今晩はお任せしてもよろしいですか?」
「お任せしないでよ」
圭は有田の腕も引っ張る。
「有田さんも泊まっていきなよ」
「でも」
「いいじゃん。蒼も遅いし。おれに付き合って。親子水入らずなんて間が持たないの」
おかしな親子だ。
親子であるが故に、気を使う。
有田は一瞬、面食らったが、すぐに笑顔になって頷いた。
「それでは。お言葉に甘えて」
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