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101.素性5
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「若いころから、あなたのお母様の話はずいぶん聞いています。どこにいるのか、ずっと探していましたから……」
「そうだったんですか」
「私たちは同志なのです。結婚は愛情の末ってわけでもないんですよ?結婚はある意味契約です。結婚とは、仕事も力もない女性が生きていくために、夫になる人と契約をし、夫の世話をする代わりに養ってもらう……っていう考えもあるくらいですから。まあ、今の女性は自立してしまっていますから、結婚する必要性もなくなってしまったのでしょうけど」
そういう考えってあんまり好きじゃないけど。
現実問題はそうだったのかもしれないと蒼は思う。
結婚で、この人とは一緒に生活していきたいと思う人同士が考えることなんじゃないだろうか?
そういう割り切った考えはあまり好ましく思えなかった。
彼女がいろいろ話している間に、奥から女性が三人出てくる。
「お母様。そんなに大きな声で騒ぐなんて……」
「娘たちだよ」
羽根田は蒼に耳打ちをする。
彼女たちは、蒼のところにやってくる。
少しふくよかで、母親に似た雰囲気の女性は蒼を興味津々で見ている。
「長女の章子(あきこ)です。23歳。デザイナーをしていて、ヨーロッパを中心に活動しているわ。起業するときに、少し出資してもらっているから、一応、子会社ってことになっているけど、自由にやらせてもらっています」
長女章子の隣にいる、細身の女性が次に口を開く。
「羽根田未来(みらい)よ。20歳です。現在はパリで画家をしています。生活は……彼がなんとか支えてくれているので、結婚する予定にはなっています。今日はかわいいお兄様がくるって聞いたから、慌てて帰国しました」
「美紀が呼んだの?」
羽根田は妻を見る。
「当然でしょう!みんな楽しみにしていたんですから。この日を……」
楽しみって……。
蒼にとったら死刑執行日のような感覚だったのに。
飛んでいる。
それが蒼の感想だ。
関口圭一郎や、ショルや……。
蒼のまわりには変な人がいっぱいいたけど。
羽根田家も十分、変!!
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