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102.社会人3
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篠崎が星音堂に入って2か月が経過した。
彼は現在、一人暮らし。
徒歩で通っている。
実家は、この町から電車で10分程度のところにある。
電車で通えば……と両親からは言われていたが、大学で味わった一人暮らしののびのび感。
今、失うのはもったいない。
と、言うことで、一人暮らしを開始したのだ。
しかし、大学生の頃と違うのは、学校で遊んで帰るのとは訳が違うってこと。
仕事でくたくたになって帰ると、もうなにもする気も起きない。
2か月も経つのに、未だに仕事はボロボロ。
毎日、三浦に怒られている日々だ。
コンビニの弁当を持って、自宅に帰る。
2か月経って、やっと自分の城にも慣れてきた。
習慣のように、テレビを付けて、ネクタイを緩める。
お弁当は無造作にテーブルの上に置く。
テレビでは、お笑い芸人が、なんとか自分を売り込もうと、無駄に大声を出してバカ騒ぎをしている。
背広をハンガーにかけ、それから、高校のときのジャージに着替える。
気に入っている。
落ち着けるスタイルなのだ。
冷蔵庫から、2ℓのお茶を取り出して、それと一緒にお弁当を食べる。
「この人たちも大変だな……」
芸人たちも、自分の生活が懸かっている。
必至におどけている様子を見て、素直に笑えないのは疲れ切っているせいなのだろうか?
なんだか、自分みたい。
ニコニコして。
笑顔を振りまいて。
結構しんどい。
なかなか馴染めないのは自分のせいなのだろうか?
それとも、なにか別な理由があるのだろうか?
食欲もわかない。
お弁当を早々に切り上げて、床にごろんと寝転がる。
「疲れた……」
大好きな星音堂。
なんだか嫌いになりそうだ。
携帯を見ても、誰からも連絡もない。
自分のスケジュール。
明日は自分の歓迎会だ。
もう2か月も経ってからだけど。
星音堂は、みんな遅番があったりするので、なかなか全員での飲み会が難しいのだと星野から聞いている。
やっと、みんなで飲み会をできることになったらか、心してくるようにと言われた。
本当に歓迎されているのだろうか?
篠崎は目を閉じて、そのまま深い眠りについた。
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