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102.社会人7
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熱でうなされていた。
寝ても寝ても。
眠りも浅い。
うつら、うつらして、そして目を覚ますと、あたりは暗くなっていた。
暑くはない。
昨日と同じ。
少し肌寒い。
「……」
何時だろう?
携帯、携帯……。
手を伸ばしてばたばたしていると、玄関外が賑やかなことに気付く。
「ここなの?」
「たぶん、ここだと思うんだ」
「本当?違う人だったらどうするの?」
「おれが間違えるっていうのかよー」
なんだ?
自分のところに尋ねてくる人はいない。
間違っていますよ……。
そう思っていると、さっそくチャイムが鳴る。
「おーい!!」
ドンドンと扉をたたく音。
間違っているにしては、派手な間違いだろう。
無視しよう。
無視だ。
間違っているのだから。
「おーい!!」
ドンドンドンドン……。
「篠崎!!」
自分?
自分なの?
間違っていないだろう。
重い体を起こして、玄関に行ってみる。
「おーいい!!」
やめてくれ。
近所迷惑だ。
こんな迷惑行為をする人がいるのだろうか?
よたよたして、なんとか玄関を開ける。
と。
そこには。
「おお。いたか」
星野がいた。
「ほ、星野さん……」
「死んでるねぇー」
彼はおかしそうに笑う。
「笑うとこじゃないでしょう?」
あれ。
一人じゃない。
一緒にいるのは……。
若い男性だった。
誰?
てっきり吉田かと思っていたが……。
あれ?
なんだか。
あれ?
見たこと……ある?
「ささ。いつまでも立ち話もなんだから」
それはこっちがいう台詞だろう?
篠崎はそう思っていたが、星野が勝手にそう言い放って自宅内に上り込んできた。
「あわわ……あの……」
熱のせいで行動が遅れる。
星野を制止しようとしたが、全然、遅い。
篠崎が動き出した頃、星野は、もうすっかり部屋に入っていた。
「汚ねー部屋だな!おい!」
「星野さん……」
「ちょっと、すみません」
若い男は、篠崎を押しのけて、ビニールの袋を下げて入っていく。
「あ、あの……」
家の主の自分が慌てているのに、客の二人が我が物顔でいるのが違和感だ。
「鍋がいいよね?星野さん」
「そうだな。少し季節違いだけど、寒いことには変わりないし。雑炊にもできるからな」
腕まくりをした星野は台所に立つ。
「ほ、星野さん……」
「お前の台所は全然使っている形跡がないな!ダメだろう?一人だって料理くらいしなくちゃ」
「すみません」
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