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102.社会人8
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「星野さん、料理のこととかうるさいんですよ」
若い男が苦笑する。
「あ、あの……」
誰でしたっけ?
そう聞きたいが、なかなか聞き出せない。
見たことあるんだけど……。
遠い昔。
遠い。
その間にも、持ってきた食材を手際よくさばき、鍋は完成する。
気づいたときには、目の前に素晴らしい鍋がおかれていた。
「病気の時は一人で食うのはいけないぞ。おれらも食ってくから」
結局は自分たちの夕食!?
なんだか意味が分からない。
「あ、あの……」
また、誰ですか?と聞こうとしたとき。
チャイムが鳴る。
「誰だ?」
星野はじろっと篠崎を見る。
「し、知りませんよ……」
「おいおい。彼女とかいうんじゃねーだろうーな」
「そんな人、いませんから」
「おれたちが鍋作ったのバカみたいじゃねーか」
「だから!」
中でもめていると、男の声が響く。
「篠崎―?」
この声は……。
星野はエプロンをしたまま、玄関にかけていく。
「お!三浦じゃんねーか。教育係としてはまずまず合格だが、おせーよ」
「星野さん!?」
三浦は目を白黒だ。
「お、おれ。遅番ですから」
確かに。
いつの間にか、時間は21時を回っている。
三浦の手にはコンビニの袋。
中にはレトルトのおかゆや、ヨーグルト、プリン、アイスが入っている。
「まったく。気が利かないねえ。こういうときは鍋だろう。鍋」
「鍋!?」
三浦は目をまん丸くして上がってくる。
「すみません」
篠崎は謝る。
「篠崎……。大丈夫か?」
「はい。あの。星野さんと……」
えっと。
だから。
「誰でしたっけ!?」
三浦は、星野が連れてきた男性を見る。
男は目をぱちぱちさせて笑う。
「あ、おれ。星野さんと一緒に住んでいる油井です」
「一緒に?」
「住んでいる!!??」
篠崎と三浦は顔を見合わせる。
一緒に。
住んでいる?
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