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107.憂鬱な恋の行方6
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「お前って、ほんとーッに、バカか!?」
自分のこと。
すっごく心配してくれていた星野には、今までのことを話すことにした篠崎。
案の定、星野は呆れ顔だ。
「す、すみません!」
「すみませんって。おれは構わねーけど!」
彼は、篠崎のことをすごく心配してくれていた。
「吉田も、蒼も、お前も!みんなバッカだな!」
「え?え?」
「まったく……」
本当に不器用でどうしようもない。
男って本当に馬鹿。
そういう自分も馬鹿な部類に入るが……。
まあ、120%蒼が三浦とくっつくなんてことはあり得ない。
この世が終わったとしてもだ。
それは、三浦だって重々承知のこと。
だから、篠崎に待っていてほしいと希望したと思うが。
そんなことも知らない状況でよく「はい」なんて言えたものだと思う。
単純馬鹿なのか。
勘なのかはわからないが。
「でも、なんか吹っ切れました。せっかく大好きな三浦さんとぎくしゃくするもの嫌だったし。どうなるかわからないけど。恋している気分を満喫します!」
篠崎の笑顔に、呆れを通り越して笑うしかない。
星野は苦笑した。
「まあ、いいさ」
「?」
不器用だけど、自分の思う様に過ごすことはいいことだろう。
「一度しかない人生だからな」
「そうですよね!」
まだ若い篠崎には人生の意味も分からないだろうけど。
星野もいい年になってきた。
自分は油井と過ごせる時間が輝いて見える。
いいじゃないか。
こういう人生も。
ただ、絶対大丈夫とはいえ、早く、篠崎のことも三浦のことも救出してあげたい気持ちになる。
これは、なんとか蒼を探さないといけないな。
そう思う。
圭からは少し連絡が入っている。
蒼はヨーロッパにいる。
それは確実だそうだ。
後はどうやって圭と引き合わせられるかってことだけど。
日本のこんな田舎にいる星野では、なんの力にもなれないだろう。
だけど、じっとはしていられないし。
なんとか方法はないものか?
最近は、そのことばかりが気になって文化祭どころじゃないな。
「大きな悩みッ」
大きな独り言。
篠崎は、星野を覗きこむ。
「星野さん?」
「んや。大丈夫、大丈夫」
「文化祭のことを考えると頭痛いですよね」
「そうなんだよな」
それはそれで悩みの種。
星野は大きくため息を吐いた。
田舎でじーっとしている自分が馬鹿らしい。
「なんて無力なんだーッ!」
突然、叫んだ星野。
篠崎は目をまんまるにしてみていた。
「ほ、星野さん?」
「無力なおれに、いったいなにが。いったい……」
そうつぶやいた星野は、ふと篠崎を見る。
「あれ?お前。今日、メガネ?」
「今、気づいたんですか?」
篠崎はあんまり興味なく見られているのにがっかりした。
「メガネ!?」
「いつもはコンタクトなんです!」
失礼な。
篠崎は、自分のメガネのどこが悪いのかと思う。
「メガネだよ!メガネ!!」
「はい!?どういうことですか?」
「だからッ!」
星野は、慌てて事務所に駆け込んだ。
中では、文化祭の準備に忙しい職員たち。
いきなり星野が血相を変えて入ってきたので、一同は手を止める。
「ど、どうした?星野?」
「メガネっすよ!あー!なんで気づかなかったんだろうか!!!」
興奮している彼。
自分の机の引き出しをかたっぱしから開けて、中身を全部ひっくり返す。
「星野さん?」
「お前も手伝え!」
三浦は引きずられて、なにを探すのかもわからず目を瞬かせる。
「あれだよ!あれ、………だよ!!」
星野の言葉に、一同は目を輝かせる。
「まて、星野!それだったらおれもあるかもしれん」
氏家も自分の机を開ける。
「星野さん、手伝います!!」
篠崎が戻ってくると、みんなで机をかき回して探し物をしている一同。
「??」
なにごとかと思うばかりであった。
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