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110.焦る気持ち3
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休憩時間。
ソファに座ってぼーっとする。
それぞれのマネージャーたちは、奥川に呼ばれて打ち合わせをしているようだった。
ショルはどこかに消えたし。
こういう打ち合わせは好まないのだろう。
ピゼッティは、同じイタリア出身の後輩と楽しそうに話しをしていた。
日本人でここにいるのは自分ひとり。
もう少し、積極的に進出してきて欲しいものだ。
日本人も。
そう思っていると、声をかけられた。
『関口圭?』
顔を上げると、そこには、今年の優勝者だとかいう子供が立っていた。
16歳と言えば、圭たちからしたら子供だ。
たしか。
『セバスティアン・リュンガーだよ』
『関口圭だ』
彼は隣に座る。
『今年の優勝者か』
『そう』
彼はぶらぶらと足をして、圭を見る。
『おれ、羽根田のパトロンもらってるんだ』
なにを言い出すのだ?
日本人だからそういう話題になるのか?
圭には、彼の意図がわからない。
冷静な顔で対処しよう。
そう思う。
『それはよかったな』
彼は圭の横顔を見ていた。
『……熊谷蒼って知り合いなんでしょう?』
冷静に。
冷静に。
そう思っていたのに。
心臓を打ち抜かれたみたいに、一瞬、体のすべての機能が停止する。
『蒼、関口の写真を見ていたことがある。ネットでもよく見ているから』
『……』
言葉を失い。
ただ、ただ、セバスティアンを見る。
『蒼は』
彼は、一瞬言葉を止め、何かを考えているが、顔を上げて圭を見る。
『蒼はおれのことが好きなんだって!蒼とおれは恋人なんだから。関口はよけいなことしないでよね』
彼は子供っぽく頬を膨らませると、ぷいっと立ち去った。
嘘ばっかり。
だけど、自分が好きな蒼を泣かせるような男は嫌いだ。
どうせ、蒼とは会っていないみたいだし。
これくらいの仕返しをしてもいいよね?
セバスティアンは部屋を出て行った。
取り残された圭は呆然としている。
蒼がセバスティアンのパトロン。
恋人?
恋人っていったか?
蒼が……?
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