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111.父と息子2
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「はい?」
圭は眠い目をこすりこすり体を起こす。
手には携帯があった。
何事かと窓辺に立って、外を見ると、そこには有田が立っていた。
こっちにきて圭一郎と会うのは初めてくらいかもしれない。
病気をしてから、めっきり日本での活動が多くなっていた圭一郎。
手を振ると、有田も手を振り返してくれる。
そして、傍に止まっていた車から圭一郎も顔を出した。
「なかなかいいアパートじゃない」
圭一郎は嬉しそうに圭の室内を眺める。
「一人で住むにはちょうどだな」
一人って言葉が突き刺さる。
圭はけだもを抱き上げる。
「一人じゃない。二人ってことだ」
「おお、これは失礼。同居人を忘れていた」
けだもは「にゃおん」と鼻を鳴らす。
失礼だにゃんと言いたげだった。
お湯が沸く音がしたので、キッチンに入る。
いったい、なにをしに来たのだろう?
蒼の件。
なにかわかったのだろうか?
はやる気持ちもあるが、がっつくのも圭のプライドが許さない。
深呼吸をして、コーヒーを淹れる。
いつも一人分が多かったから。
調整が難しいな。
そう思う。
コーヒーを淹れて室内に戻ると、圭一郎がベッドでごろごろしてけだもと戯れている。
有田は窓辺で外を眺めていた。
「どうぞ」
「悪いな」
「すみません。圭くん。突然、お邪魔してしまって」
「いや。どうせ、今日はオフだし」
「そうだと思いました」
高塚だな。
そう思う。
最近、有田と高塚はなにやら連絡を取り合っているらしかった。
同じ、マネージャーの仕事をしているので、高塚が有田を尊敬しているようだが……。
「そういえば。ルルに会ったんだって?」
体を起こし、けだもを膝に乗せると、圭一郎は口を開く。
「あ、ああ。うん。偶然」
「ルルが急に電話をくれて」
「そうだったんだ?」
「おれが若いころ、随分世話になった。彼からはたくさん、いろいろなことを学んだし」
「桜さんの師匠なんでしょう?」
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