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112.圭の休日8
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「ちょ、ッ……け、圭ッ……はっんん」
蒼の匂い。
蒼の熱。
蒼の感覚。
どれもこれも新鮮。
「ご、ごめん。蒼。でも、ちょっと、我慢できないかも……」
高校生でもあるまいに。
蒼のことをいたわってやりたい気持ちも大きいのに。
逸る気持ち。
嬉しい気持ち。
どうしようもない蒼への思いが、行為に反映されてしまう。
軋むベッドの上で、蒼はシーツをぎゅーっとつかんでいた。
「ちょ、ちょっと!!圭ってば!!」
「だって……ッ」
「うう、……!!」
圭は幸せな気持ちのまま絶頂を迎えた。
蒼にとったらたまったものではない。
ぐったりしている圭に一生懸命に抗議する。
「ひどいよ!もう!もっと優しくして!!」
「だって、……ごめん……」
「焦りすぎでしょう!」
蒼のほうがタフだ。
一人で怒っている蒼を見て、圭は苦笑した。
「蒼は変わらないね……」
いつも体力維持のために頑張っているのに。
なにもしていない蒼に負けるなんて……。
情けない。
圭は蒼を見上げる。
「だって。うれしかったんだもの」
「おれだって、そうだけど……」
「ごめん」
遠慮していたのか。
台所のほうにいたけだもが、そっと顔を出す。
「にゃおん」
「おいで、けだも」
蒼が呼ぶと、彼は嬉しそうにベッドのに上ってきた。
頭を撫でると、彼は嬉しそうに喉を鳴らした。
離れていた時のことをああだこうだといってもなにも始まらないし。
1年も離れていると、いろいろありすぎて、なにから話をしたらいいかわからない。
と、なると。
結局はこれ。
久しぶりに会ったのだもの。
お互いの気持ちや温もりを確認したいのが恋人同士だろう。
蒼がどう考えていたのか。
それは蒼にしかわからないことだけど。
でも、圭にとって嬉しかったことは、彼が指輪をしていてくれたってこと。
自分だってそう。
これだけは絶対にはずせない。
そう思っていたから。
「よく出てこられたね。奥川さん。協力してくれたってこと?」
圭は先日の一件を思い出す。
蒼は知っているのだろうか?
圭が土下座までしたってこと。
あのときに奥川が揺れていたなんて思えなかった。
彼女は圭が土下座をしたことに対して動揺しているようにしか見えなかったが……。
あの女性が心を動かすなんて思ってもみなかった。
「わからない。彼女は頑として、おれが圭と接触しないように。圭と関係のある人……たとえば、ショルとか、お父さんとかとの仕事もさせてくれなかったんだよ?おれ、頼んだんだけど。社長からの指示を忠実に守る人だから」
「社長……」
蒼は羽根田章を「お父さん」とは呼んでいないのか。
圭はなんだか、心に引っかかった。
「どういう風の吹き回しなんだろうって思うよ。まず、一人で自由にしていい時間なんてほとんどなかったんだから。今日が初めてくらい。だから変な気持ちで来たところだったんだけど……。そしたら圭がいたでしょう?びっくりしちゃって」
「おれは有田さんからチケットもらったんだ。父さんが根回しをしてくれたんだろうなって思ったけど。父さんが羽根田にそんなに力があるとは思えないんだけどね」
「いくらビジネスの取引とはいえ、奥川が折れるとは思えなかったな……」
「でも、まあいいじゃない。こうして会えたんだし」
それはそうだと、蒼は苦笑する。
「なんだか変だよね。なんで会わないでいたんだろう?会ったって、こうしてお互いの仕事ができるのにね」
「それはいつもの話だろう?」
圭は蒼の頬をつねる。
「イタタタ!」
「蒼はいっつもそうじゃん。一人で決めて、一人でやっちゃうんだから。家出なんて日常茶飯事だし。まったくー!」
圭は次いでに、反対の頬もつねる。
「け、けい~!」
大騒ぎになったので、けだもは迷惑そうにベッドから降りる。
1年もブランクがあるのに、1年前と変わらない。
成長がないとも言える。
けだもはそう思いつつ、定位置の窓辺に座った。
そして、ふと眼下の暗闇に一台の車を見つける。
メガネをかけた日本人の女性が立っていた。
しばらく、彼女はそうしていたけど、そのまま車に乗って立ち去って行った。
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