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04 雨の日の再会1
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結局。
蒼は、関口の世話になって病院にまで付き添ってもらった。
しかも、熱がなかなか下がらない蒼を一人にするのは可哀相だと、もう一晩泊まって看病をしてくれた。
抗生物質をもらい、さすがに二晩目には熱も下がったので、関口には東京に帰ってもらった。
彼だって忙しいのだ。
初対面に近い自分の面倒をいつまでも見てもらうわけには行かなかった。
症状は熱がメインだったので、2日間休んだ翌日には、なんとか体は動くようになっていた。
まるまる1日、寝て過ごしたのでふらふらしていたが、職場に行ってしまえばなんとかなるだろうと思ったのだ。
職場に顔を出すと蒼が休むなんて珍しいとみんなにからかわれた。
5月。
ゴールデンウィークも終わり、季節は梅雨に向かっていく。
少しずつ雨が降る日が多くなっている季節。
昨日はあんなにお天気だったのに、土砂降りだった。
今日は、傘をちゃんと持ってきた。
帰りは歩いて帰るしかない。
あの事件から二週間がたち、蒼の風邪は一応落ち着いた。
蒼は子どものころ、小児喘息で苦しんでいた。
大人になって今は治まっているが、やっぱり風邪を引くと長引くのはそのせいかも知れない。
久しぶりの風邪で参ってしまっていたけど、なんとか落ち着いてきたようだ。
これも関口の看病のおかげだろう。
ちゃんと病院にも連れて行ってくれて、食事まで食べさせてくれた。
本当に助かった。
なにかお礼をしなくては……と思っているのだが。
肝心の関口が姿を見せなくなっていたのだ。
「雨が続くな……」
星野は窓辺に立ち、息抜きをしている。
その声につられて吉田も顔を上げた。
「じめじめして嫌ですね。髪形もきまらない」
自分の頭をいじっている彼。
尾形の手が伸び、わしゃわしゃと彼の頭を撫でた。
「ひゃ!ちょ、ちょっと!!尾形さん!」
「お前にはそれが一番お似合いだぞ」
「き~!」
ぶうぶう怒っている吉田を見て、星野は苦笑する。
そして「あ」と手を鳴らした。
「そういえば、関口を見かけないなあ」
関口と言う言葉に身体が反応した。
ふと彼のことを思い出したのだ。
蒼は、パソコンを打つ手を止めた。
「そうですねえ。市民の練習も休んでいるってことかな?コンマスが欠席なんていただけないですね~」
さっきまで怒っていたはずの吉田が笑う。
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