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18 マエストロ8
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冗談じゃない。
圭一郎との食事なんてごめんだと思う。
あんな変人と外食なんかできるか!
蒼も同感だった。
ソラマメの件以降、圭一郎への考え方は変った。
一緒に食事なんて考えられない。
二人は揃ってお断りをした。
「せ、せっかくの再会だもの。みんなでどうぞ」
造り笑いをする蒼。
圭一郎はつまらなそうにした。
「なんだ。行かないのか」
そんな彼をかおりは、たしなめる。
「あなた。若い恋人を付き合わせるなんて野暮なことですよ」
「そうだったね」
苦笑して同意したのは栄一郎だ。
「え!?」
二人は目が点になる。
「あらそんなに驚かなくてもいいじゃない。蒼の幸せなお相手は圭くんなんでしょう?」
空まで!!
お互いの両親にばれているってどういうことだ。
しかも、この受け入れのよさはなんなんだろうか。
親公認になってしまったのか!?
妙な展開に二人は焦っていた。
「では次の機会と言うことにしよう」
残念とガッカリしている圭一郎をなだめるかおり。
「じゃ、そういうことで」
関口はこれ以上話が大きくならないようにと蒼の腕を引く。
すると、栄一郎が声を上げた。
「そうだ。蒼。明日、休みに帰ってこられる?大切な話があるんだ」
「な。なんですか……?」
「それは。明日にするよ」
「……」
幸せな気持ちが翳る。
なんだろうか……。
二人は蒼の両親と別れて、暗い道を歩く。
辺りには誰もいない。
関口はぎゅっと蒼の手を握った。
「関口……」
「気になるね。話……」
関口はまっすぐ前を見たまま呟く。
黙っていた蒼の気持ちを読み取ったのだろう。
蒼は関口を見上げた。
「ごめんね。関口」
「いいんだよ」
「……うん」
玄関を入り、靴を脱いだところで、関口は蒼を後ろから抱きしめる。
「関口……」
「おれ。お前の力になりたいんだよ」
俯いたまま小さく頷く。
「うん。分かってるよ。関口」
「明日、頑張ってね」
「……うん」
関口の腕に自分の手を添える。
「大丈夫。大丈夫だよ」
蒼は自分に言い聞かせるように何度も「大丈夫」を繰り返していた。
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