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20 突きつけられたもの4
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鳥の声で目が覚めた。
今日は月曜日。
蒼が自分の歪んだ心を吐露してくれてから、三日が経っていた。
あれからずっと元気がない。
お日様はどこかに隠れてしまっていた。
重い頭を押さえて身体を起こす。
今日は、海外公演のため日本を発たなければならないのだ。
「蒼……」
休日でまだ寝ている蒼の顔を見詰める。
ここのところ夜もよく眠れていないみたいだった。
精神的なストレスは喘息にも影響する。
朝方になると、仕切りに咳をして寝苦しそうにしていた。
今日は休みだからゆっくり寝かせてあげたい。
そっと起きだす。
彼はあの日以来、子ども返りした感じだった。
寂しいのか。
不安なのか。
こうして一緒にいるときは執拗にくっついてきた。
いつも、きまちゃんを抱えてうろうろしている。
すぐに泣くし。
感情の起伏が激しい。
その割にぼんやりしていることも多くて、昨日はヴァイオリン協会で行った星音堂で星野に泣きつかれた。
蒼がいつにもまして、ぼんやりして暗いので事務室の雰囲気まで最悪だと。
そう言われても困る。
空の息子だからなのか良く分からないないが、彼もまた、精神的には脆弱なタイプなのかも知れない。
関口は元々、追い詰められると逆に力を発揮したりするタイプだ。
しかし、蒼は逆。
追い詰められると、その場から逃げることを選択するタイプだ。
こんな大事なときに一週間も日本を離れているなんて心配だ。
ベッドサイドに座り込み、蒼が眠っていることを確認してから携帯を取り上げる。
「あ。もしもし。おれだ。朝から悪いんだが……」
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