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25 小舅vs恋人2
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「大丈夫だって。おれもいるし。お昼頂いたら帰ってこよう。お母さんだって待っているはずだよ?」
それが気がかりなんだってば!!
そう思うけど、せっかく心配してくれる関口。
本当に有難いと思うけど。
もたもたしていると、関口はさっさと用意をして、蒼を急かす。
「蒼、ほら」
「……」
仕方ない。
あきらめるしかないだろう。
しぶしぶ用意をしてアパートを後にする。
途中、関口は蒼の母親の好きなお菓子を買ってくれた。
実家への道のりが長い。
陽介、いないといいんだけど。
今日は平日だし。
外来の診察をしているだろう。
そうだ。
お昼になる前に帰ってきてしまえばいいのだ。
外来は午前中が忙しいし。
お昼過ぎまでは込んでいるだろう。
その前に昼食を済ませて、帰ってきてしまえばいいのだ。
名案。
蒼はさっそく関口に伝える。
「ねえ、お昼食べたら、すぐに帰ろう!ね?」
「どうしたの?」
「だ、だってさ」
「あんまり長居はしないよ。ご迷惑様になると大変だもの」
「だ、だよね」
へへと蒼は笑う。
「あれ?この辺だっけ?」
大体の場所しか分らない関口は迷子だ。
「あ、ごめん。ここ、曲がって」
蒼の案内に従って進む車は、蒼の実家に到着した。
緑に囲まれた家は歴史を感じさせる趣だ。
関口は、ぽかんとしている。
「関口?」
はっとして彼は笑う。
「へ?」
「なに?」
「いや。……ここで、蒼は大きくなったんだなって思ったら。やっぱり今日来てよかった」
「は?」
関口にとったら、蒼の過去はまだよく分らないものだ。
謎は解けたけど。
実際に触れたわけではない。
なんだか、蒼の育った場所に来るっていうのが、彼にとったら刺激的な出来事だった。
「素敵な家だね」
「そうかな……」
蒼にとったら、そんなにいい場所でもないが。
じろじろ様子を伺っている関口を置いて、さっさと庭を通って玄関を開ける。
「ただいま!」
「あ、蒼~」
関口は慌てて蒼の後ろを追ってくる。
「お帰り、蒼」
中には優しい父親の顔があった。
「ただいま」
「こんにちは。お久しぶりです。今日はおれまでお招きいただいて」
関口が慌てて頭を下げる。
「よく来てくれたね。圭君。空も楽しみに待っていたよ」
笑顔を見せて関口を見てから、蒼の頭をなでる。
「へ?」
「体調、いいみたいだね。病院さぼって駄目だよ」
「父さん」
「蒼は体調がいいとすぐに病院通わなくなるから」
その通りだ。
栄一郎の意見に同意をしたのは関口だ。
「そうなんです!」
「へ?関口?」
「お父さんからビシっと言ってやってください。これから寒くなるって言うのに。蒼はちょっと安定していると薬はサボるし。病院にも行かないんです」
「ちょ、ちょっと!関口」
なに?
「ほら。圭君も怒っているよ。蒼。大切な人に迷惑を掛けたくないのだったら、ちゃんと自分の体調は自分で管理しなさい。大事な身体なのだから……」
大事なって。
ちょっと!
なんだか、様子がおかしい。
嫁を連れてきた息子みたいなシチュエーション??
いや。
彼氏を連れてきた娘じゃないか!
これじゃ。
父親の忠告よりも、そんな立場に陥っている自分が腑に落ちない。
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