アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
37 共演12
-
猫を借りてアパートに帰ると、蒼はぼんやりベッドの上に座っていた。
半分布団に入っているところからしても「今、起きました」状態である。
「蒼!」
関口は、さっさと蒼を引っ張った。
「関口」
「ほら!顔洗って。歯磨きして!練習に行くぞ!」
「練習?」
「昨日の」
ぼんやりしていたが、その言葉に彼は瞳の色を弱めた。
「おれ、自信ない」
ぽつりと呟く蒼。
そんな彼の背中を関口は、ばしっと叩いた。
「だから練習するんじゃないか!」
「関口」
「音楽の道は厳しいんだからな。1に練習2に練習。練習に始まり練習に終わるのだぞ?」
なんともいんちきくさい言葉だ。
蒼は瞬きをして関口を見る。
疑っている視線だ。
「本当だって!おれだって練習しているだろう?」
「確かに」
確かに、関口は世界的に有名な才能のある両親を持つが、練習は欠かしたことがない。
毎日、血の滲むような練習をしていることを蒼は知っている。
「そうだった」
「だろう?」
関口は蒼の背中を押して洗面所に連れて行った。
「ほら!練習に行こう!付き合うから」
「うん」
しぶしぶ顔を洗い、歯を磨く。
本当には練習なんかしたくない。
もう投げ出してしまいたいくらい嫌だな、と思っていた。
だけど、こうして関口は一生懸命になんとかしてくれようとしているのだ。
蒼は関口に連れられるままに外に出かけた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
272 / 869