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39 ブレーメンへ行こう!2
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「わお~…わお~……」
ステージが薄暗くなり、犬がとぼとぼやってくる。
「ひどいわん。ひどいわん」
犬はステージの真ん中に座り込み歌いだす。
「年を取ったからって。狩が出来ないからって。どうして捨てすてるんだわん?確かにボクはただ飯食いのボケ犬さわん。だけど、それでもボクはみんなと一緒にいたいんだわん。みんなのために働いてきたのに。こんな仕打ちは本当に酷いもんだわん」
犬は力尽きて床に寝そべってしまう。
そこに、ロバが陽気に入ってきた。
肩には木の枝を乗せ、白い包みをぶら下げている。
そして肩からはギターケースを提げていた。
「あれれ?どうしたい?犬くん」
「これはこれは。ロバさん。楽しそうでいいわん」
「ええ。これからおれはブレーメンに行くんだよ」
「ブレーメン?」
ロバは陽気に踊りながら犬の周りを歩く。
「ボクは年をとってね。もう粉をひいたり、重い物を持つことが出来なくなったりしたのさ。そしたら飼い主さんはおれをもう用無しだって追い出したんだ」
「……追い出されたのに、どうしてそんなに陽気なんだわん?」
「だって!くよくよしていたって仕方がないじゃないか。ボクはもう決めたのさ」
ロバは肩からギターをはずすとぽろろんとかき鳴らす。
「さあ!キミは太鼓でも叩くといいよ!楽しい気分になるさ」
犬は寂しそうにロバを見上げていたが、彼の陽気な姿に立ち上がる。
「よし……ボクだってやってやるわん!いつまでもくよくよしてられるかわん!」
犬は側にあった木の枝を拾い上げて太鼓を叩くまねをする。
「その調子、その調子!」
ロバと犬はリズムに乗ってステージの上を回った。
「さあ!ブレーメンへ行こう!」
「そうだ!ブレーメンに行こうわん!」
二人は嬉しそうに歩き出した。
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