アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
40 文化祭の夜に3
-
「父親の愛情じゃないか。そんなに目くじらを立てるなよ」
「星野さんまで……」
「子どもの心配をしない親がどこにいる?」
星野は、よしよしと関口の頭を撫でる。
こう見えて、結構優しい男だ。
だけど、関口は騙されない。
「星野さんはそう言いますけど!それがここにいるんですってば!おれの親っ!!!」
「関口……」
「この前だって。蒼を外人の接待になんか使って……。本当に参ります!ありえない!ありえないですよね?息子の恋人を使いますか?そういうとき!」
だんテーブルを豪快に叩いて怒る。
突然のことに一瞬、宴会は静まり返った。
「な、なんでもないんです!」
蒼は慌ててみんなに愛想を、振りまいた。
そんな蒼の様子に宴会はざわめきを取り戻した。
「関口!あんまりなことを言わないんだってば。どこで誰が聞いているかわからないじゃない」
し~っと指を立てて関口を諭す。
「いいんだって。もうどうせ大概の人にはバレてるじゃんか」
「だから!」
開き直るなよ!っと蒼は怒った。
星野は苦笑いするしかない。
「本当にお前らは出会えてよかったよな」
「え?」
「本当によかったと思うよ。うん」
「星野さん……」
話しはいつの間にかズレていた。
星野も酔っているのだろう。
二人はぽかんとしていた。
「星野さん、本当に変ですよ?」
「そっか?」
ニコニコしている彼。
最近はめっきりいい人になってしまっている。
何が彼をここまでにしたのか?
関口と蒼には到底、理解できるものではない。
二人は顔を見合わせて首をかしげるしかなかった。
そして。
そこに、神崎がやってきた。
「お疲れ様」
「お疲れ様です!」
「今回はありがとうね!本番もあたしの思い通りにいったし。猫の登場シーンなんて予想以上だったわ。やっぱり練習したんでしょう?」
「公園で特訓しましたから……そうだ!神崎さん!」
関口は彼女にもからむ。
「うちの蒼をいじめないでもらえます?」
「いいじゃないの。結局はやってくれたんだから」
「そういう問題じゃないですってば!」
再び怒り出す関口。
これはどうしようもない。
彼も色々大変なのだろうな……。
きっと。
いつもはそんなに、うるさく言うほうじゃないから。
きっと、本当は言いたいことも山ほどあるんだろう。
今度からはよく話しを聞いてあげなくちゃ。
蒼はそう思った。
わいわいしている打ち上げも大詰め。
ここまでくれば、大丈夫だろう。
やっと肩の荷が降りて、ほっとした蒼は関口と神崎のやり取りをぼんやり眺めていた。
―――そんな様子を見守っている女が一人。
安岐(あき)である。
久々の登場である彼女だが。
どうやら彼女はまだ関口のことを諦めていない様子だ。
仲むつまじい関口と蒼の様子にじっと見入いる。
「怪しいわ。絶対に怪しい」
彼女は一人考え込んでから目の前のビールに手を伸ばした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
286 / 869