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43 年越し温泉旅行5
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「あれれ?どうしたんですか?」
何かをかばうように両手で後ろをさえぎっている彼はかなり怪しい。
狭い廊下なので星野が一人立っていると向こう側が見えない。
関口は首を伸ばして彼の後ろを覗いた。
「な、なんでもないって!」
星野はわ~わ~声を上げて手をバタバタさせた。
しかし。
後ろから声が聞こえて、小柄な若い男が顔を出した。
「星野さん?どうしたの?」
「わ~~ッ!!!」
「あれれ~。星野さんが男の子と一緒に旅行??」
関口は思わず笑う。
蒼もビックリだ。
しかも。
この子。
見たことある。
「あれ?君……」
浴衣姿になっている子は何度も瞬きをして星野と関口と蒼を見ていた。
そして……。
「あ!あれ?蒼、さん?」
ビックリしたように声を上げる。
「油井くんじゃない?」
蒼の問いに星野は諦めてうなだれた。
観念したようだ。
「なんで星野さんと油井くんが?」
蒼はビックリして二人の顔を交互に見る。
そして。
首を傾げた。
「なんで?」
「なんでって野暮なこと聞くな。そういうことだって」
星野は顔を赤くして開き直った。
「え?ええええ~~ッ!?」
蒼は更に驚いた。
関口には事情が分からない。
「なんだ?どういうこと?」
「だ、だだだって!油井くんは高校生だよ?いいの?星野さん!犯罪……っ!」
大きな声を上げる蒼の口を星野は慌ててふさいだ。
「し~!旅館内に響いてるじゃねーか!お前!」
そうだった。
ここは筒抜けなんだっけ。
「高校生?」
関口もビックリだ。
思わず星野を見る。
「星野さんに恋人ができたのは聞いていたけど。なんでまた」
そこまで言ってはっとする。
思わず言いたいことを口走ってしまったが油井がいるのだ。
彼はしょんぼりして様子を見守っている。
一番、年齢のことを言って気にしているのは彼かも知れないじゃないか。
関口は慌てて油井に言葉をかける。
「すまん!そういう意味じゃないんだ。ただ、ビックリしただけ。気にしないでくれ」
「……すみません」
油井のほうが謝っていてはどうしようもない。
ともかく。
事情を聞くため、蒼たちは星野と油井を自室に招き入れた。
「なにがどうなってこんなことになったんですか?」
蒼の言葉に星野は笑う。
「仕方ね~だろう?お前たちと一緒だって。なにがどうなったかなんて理由はないわけさ」
確かに。
彼の言い分はごもっともだ。
蒼だって誰かにどうして今の状態になっているのかを聞かれても答えようがない。
「確かにそうだけど……」
ため息を吐いてそして油井を見る。
彼は居心地が悪そうに座っていた。
「油井くんはいいの?これで……」
蒼の問いに彼は顔を上げて笑う。
「いいのかって意味が分からないですけど。でも。今はこれでいいんです。おれ、星野さんと一緒にいると楽しいし。星野さんのことが大好きだから」
ね~っと付け加えてお互い顔を見合わせて微笑んでいる星野と油井。
この調子だと、蒼たちがとやかく言っても仕方がないだろう。
蒼と関口も顔を見合わせてため息を吐いた。
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