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46.新しい道4
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「あ~!疲れたッ!」
大きな独り言を言って、蒼はベッドに倒れこむ。
眠い。
今日はいつもの3倍くらい頑張った。
そのせいか、思ったよりも仕事は進み、星野にも迷惑をかけないで済みそうだった。
今日、一回も開いていない携帯を見る。
不在着信と留守番メッセージが表示されていた。
関口?
どっきりして急いで携帯を見る。
しかし、相手は関口ではない。
陽介だった。
「なんだ。びっくりした」
がっかりした。
陽介が嫌いなわけじゃない。
関口からの連絡があったらどんなに嬉しいだろうって思っただけだ。
なんだろう?
陽介から連絡をよこすなんて久しぶりのことだ。
メッセージを聞いてみる。
内容はたいしたことのないものだった。
ただ熊谷家の近況報告みたいなもの。
最後にちょっと逢いたいね、なんて入っていたけど、そういう時間もないし、そういう気分でもない。
陽介には悪いけど、仕方のないことだ。
ベッドに転がってため息を吐く。
高校生の頃まででは考えられないことだった。
あの頃は、自分の人生は陽介しかなかった。
彼さえいればいいと思っていたのだ。
友達もいらないって思ったし、知り合いだって本当に少なかった。
部活はやっていたけど、部員ともその場だけの付き合いだった。
そういえば、あの頃、父親の知り合いで人のよさそうな男が家に来ていたっけ。
思い出した。
しばらく忘れていたけど、彼はいい人だと思っていた。
だけど結局、裏切られた。
陽介しかいないって思い知らされた事件だった。
「は~……」
じっと天井を見上げる。
本当に情けない人生だなって思う。
一人前の男のくせに。
誰かに依存しないと生きていけないのだから参ってしまう。
あの頃は陽介。
今は関口。
「なんとかならないかな……」
自分は自分で生きていける方法を見つけないといけない気がするのだ。
関口と離れて特にそう思う。
陽介との仲がそうだったように、もしかしたら関口との関係も永遠のものなんてことはありえないかもしれないのだから。
いつまでも人に寄りかかって生活していてはいけないと思った。
いい機会だ。
関口がいないここ約一ヶ月。
自分に何が出来るかを考えたほうがいいのだろうな。
そう思った。
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