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47.ATTO PRIMO5
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『おお!因縁ですか!』
『一体どういった?』
「桜さん!」
一体どういうつもりなんだろうか?
困る。
しかし、桜は続ける。
『まあ、因縁の内容はプライベートな問題だからそうそうは明かせないけど。ともかく、二人はファイナルステージでの競演を目指してバトル中なわけ』
『なんと!そんな水面下での戦いがあったとは!』
『もう少し取材をさせてください!』
『取材の拒否はしないよ。でも今日はこれで勘弁してね。二次が終わったらまた話すから』
『関口さん!』
『ちょっと!お話を!』
ミハエルに引っ張られるように連れ出された関口。
その後を桜が続く。
外に出て車に乗りこむと関口は桜に詰め寄った。
「ちょ、桜さん!なんであんなこと」
桜は煙草に火をつけて笑う。
「ちょうどよかった」
「なにが?」
怒りを通り越して呆れてしまう。
『圭。演奏家には話題性もつき物だよ』
ミハエルは運転をしながら笑う。
『え?』
「これであんたは明日から一番の注目株。どんどんみんなが注目する。二次予選からはそういう知名度も必要になる」
「桜さん」
「言ったでしょう?一次はおとなしくても構わない。だけど、それは初戦までの話。後はいかに名前を売るかよ」
「なんだか選挙みたい」
「そんなもんでしょう?」
そんなもんじゃないと思うけど。
仕方ない。
もう知られちゃったんだから。
周りがどうなろうと自分は自分のできることをやるしかないのだ。
「もうこうなったら注目されちゃうからおとなしくしたほうがいいね。二次の練習に取り掛かるよ」
「まだ決まってないのに……」
「弱音を吐くな!」
「はい」
厳しい師匠だ。
だけど、これが彼女の生き方なのだろう。
国際コンクールで優勝を勝ち取った桜。
彼女の生き方に学ぶべきことは多い。
文句を言わずについていくしかないか……と関口は諦めた。
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