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54.ATTO QUARTO5
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『圭はどうしたの?』
夕食時。
食卓にいない彼を心配してミハエルは首を傾げる。
『なんだか拗ねちゃってさ』
桜はワインを持つ。
『拗ねた?』
『今日はファイナルのオケ合わせだったのよ。なんだかショルとは根っから合わないみたいね』
『大丈夫なのか?』
椅子に座りミハエルもワインに手を伸ばす。
『仕方ないでしょう。合わない人間とも合わせられるくらいの度量をもってもらわないと困るわ』
桜の言葉にミハエルは笑う。
『本当に。音楽家ってやつは気難しいんだから』
『あら?心外だな。お前もその一員じゃないか』
『それはそうだ!』
二人はワインを見つめてから顔を合わせる。
『大丈夫だろう。圭なら』
『そうね。あの子。ああ見えて度胸はあるから。大丈夫よ』
そう、大丈夫。
桜は何度も呟いて、窓の外に視線を向けた。
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