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64.日々勉強6
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「あ~、疲れた……」
自宅に戻ったのは22時を過ぎていた。
新人なので定期演奏会の実行委員に選ばれたのは意外だったが、事務作業など慣れていると言うこともあって抜擢されていたのだ。
星音堂は21時までしか利用できないので、練習後に、側にあるファーストフード店で打ち合わせをした。
演奏会まで1ヶ月。
具体的なことになると揉めるのか、なかなか決まらないことも多くて、来週にまた実行委員が開かれることになった。
「疲れたなあ……」
ベッドにうつ伏せになって瞳を閉じると、そのまま寝てしまいそうだ。
しかし、けだもがやってきて蒼の頬を舐める。
「そっか。ご飯だよね」
けだもも大変だ。
朝は普通に食事をもらうが、夜は21時すぎなんてことがざらにある。
タイマー付の餌入れを利用しているので、日中はなんとかしのいでいるが、飼い主と一緒にいられる時間は少ない。
蒼が帰ってくると甘えたくて仕方がないのだろう。
随分大きくなったけだもはトイレも一人でできるし、手も掛からない。
だけど、まだまだ子ども。
「にゅ~」
肉球でぺたぺたと頬を叩かれると可哀相になる。
蒼は重い身体を起こして立ち上がる。
けだもは嬉しそうに蒼の足にまとわりついた。
「どれ~」
おトイレをきれいにして、それから水を交換して。
最後にレトルトの餌を容器に入れる。
けだもはおいしそうに食べていた。
「お前はいいね。こうして家にいられて」
おれもこのまま寝て過ごしたい。
もう疲れたな……。
そう思いつつ、またベッドのところに行って横になる。
今日は圭が帰ってこない日。
圭一郎との練習があって、その後は新しい演奏会の打ち合わせがあると言っていた。
「仕方ないよねえ。こうして一緒の家に住めるだけで幸せなんだから」
ごろんと寝返りを打ち、蒼は天井を仰ぐ。
「こんなに一人の時間が長いなら、別に狭くてもよかったのに……」
大きくため息を吐いて瞳を閉じた。
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