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74.花火2
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今日は蒼の楽しみにしていた花火大会だった。
定時で切り上げて、早速、家に帰る。
玄関を開けると、けだもが駆けてきた。
「ただいま~。圭?いる?」
「おかえり。蒼」
居間から顔を出した彼は嬉しそうだ。
「なに?」
「急いで帰ってきたんだろう」
はっとして髪に手を当てる。
自転車をふっ飛ばしてきたからあちこちハネていた。
「だ、だって。楽しみだったし」
「そうだね。おれもだよ」
靴を脱いで、居間に上がり込むとはっとした。
圭の目の前には紺色のシックな浴衣が一式に置いてあった。
「なに?」
「ん~。昔、母さんに買ってもらったヤツなんだけどさ。蒼に着てもらおうかと思って」
「え!おれ?」
「そう。蒼」
でも……。
蒼はきょろきょろする。
自分の浴衣がないわけではない。
ただ、今日はそこまで考えていなかったから用意していなかった。
それに。
これは一式しかないし。
「圭は?」
「おれはいいよ。浴衣とか似合わないし」
「そんなことないよ。圭のだもん。圭が着ればいいのに」
「いいの、いいの!」
おろおろしていると、不意に突き飛ばされた。
「あわわ」
バランスを崩して、側のテーブルに手を着く。
「ひどいよ~。なにすんの?」
「ほれ、さっさと脱ぐ」
「ちょ、ちょっと……」
姿勢が定まらないせいで抵抗もままならない。
蒼はあっと言う間にシャツを引っ張られていた。
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