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75.嫉妬3
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帰り。
遅番を終えて、外に出ると圭が待っていた。
一緒に遅番だった三浦は、嬉しそうに手を振って帰っていった。
蒼も、彼と帰宅を共にするのは久しぶりだったので嬉しかった。
しかし。
圭の機嫌はすごく悪かった。
「なに怒っているの?」
いつもだったら放置するが、今日は車の中で狭い空間だ。
黙っている訳にも行かない。
「別にい」
語尾を延ばすところが怪しい。
機嫌が悪いクセに言わないところが苛立つ。
蒼も、心当たりがないせいか、カチンときた。
「別にって。なに?おれ、なんかした?」
「蒼のせいじゃないし」
「はあ?じゃあ、なんでそんなに機嫌悪いんだよ。今日のリハのこと?なんなの?」
「蒼には関係ないじゃん」
他愛もないことから始まる喧嘩は日常茶飯事だ。
蒼もいつまでも大人になりきれていないのか?
ちょっとしたことでイラっとする。
「おれに関係ないんだったら家にまで持ち込まないでよ!」
仕事の帰りだったし。
明日はどうせ、関係者での打ち上げがあるのだろうから、自分は遠慮するつもりだった。
だから、せめて今晩……。
今晩はちょっとでもいい気分で過ごしてもらいたいと思って、夕飯のこととか、色々考えていたのに。
そう思っていたのに。
これじゃ台無しだ。
なんだか一気にやる気がなくなる。
「いいじゃん。別に。おれがいつ機嫌が悪くなろうと。蒼には関係ないんだから」
「一緒に住んでいるのに、関係ないとかおかしいじゃん!機嫌が悪い人がいると本当に気分が悪くなるんですけど?」
「じゃあおれと一緒に住まなければいいんじゃない」
「ちょっと!」
そういうことを言うか?
普通。
蒼はむ~っとする。
なにかあったに違いない。
それの八つ当たりを自分にしているに決まっている。
そう思った。
「あの三浦ってヤツのところにでも行ったら?」
三浦!?
突然のことにぽかんとしてしまう。
なんで三浦の名前が出てくるのか、蒼には理解できなかった。
「な、なに?なんで?三浦って?」
「今日はすっごく楽しそうに仕事をしてたじゃん」
「え?あ、ああ」
あれ?
覗き見していた時のこと?
あの時のことを怒っているのか?
なんで?
ふと星野の言葉を思い出す。
『修羅場になんねーといいけどな』
こういうことか!!
そこでやっと気が付く。
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