アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
78.いつも一緒1
-
「そうなの。うん。どうする?」
蒼は夕暮れの寒い外で携帯を抱えていた。
相手はもちろん、圭である。
あっちもコソコソと話をしているようだった。
『そう言われてもな。ブルーノはなんだって?』
「なんだって……レオーネのことを探しにきたみたいなんだけどね」
『じゃあ家にいるよ』
「へ!?本当?」
『本当だって』
どういうことなのか。
蒼にはさっぱり分からない。
圭からすれば、ことのあらましは聞いているので理解することが出来たが……。
「ってことは。レオーネを追いかけてブルーノが来たってことでしょう?」
『そういうことだ。だから連れてきて』
「わ、分かった」
事実は分かった。
ただ、その背景がよく分からない。
蒼は首を傾げながら、携帯を切る。
ただ一つ言えることは、これは単なる痴話げんかと言うやつなのだろう。
自分と圭がするような。
あんまり首を突っ込むのはよくないって分かっている。
蒼も、前回の家出のことでよく理解している。
関わったみんなには大変ご迷惑なことをした。
その代わり、結局は解決するためには自分たちがなんとかしなければいけないってこと。
カップルの喧嘩はカップルでなんとかするしかないのだ。
周りの人を巻き込むから面倒くさいことになる。
「ともかく。家に帰ろう」
よしと頷いてから、星音堂の入り口に戻る。
中に入ると、入り口付近の自販機のところにブルーノがしょんぼりして座っていた。
そして、その隣では困った顔の星野。
彼もとんだとばっちりだ。
「すみません。星野さん。圭と連絡とったので、自宅に連れて帰ります」
「おう」
彼は『元気だせよな』とブルーノに声をかけて去っていく。
『ごめん。蒼。みんなに迷惑をかけちゃって』
『ううん。それより。レオーネ。家にいるみたい。行ってみよう』
彼の名前が出ると緊張するのだろう。
ブルーノは蒼の袖を捕まえる。
『どうしたの?』
『……レオーネ。もう、おれの話なんか聞いてくれないのかも知れない』
急にどうしたと言うのだ。
蒼は仕方なく、彼の横に座りなおす。
『どうしたの?喧嘩?』
『喧嘩ってわけでもないんだけど……』
煮え切らない。
『どうしたの?話してみたら?』
『……』
彼は少しもごもごしてから困惑の表情で話し始める。
『レオーネに嫌われちゃったみたいで』
『なんで?』
『わかんない。でも、人の話はちっとも聞いてくれないし。勝手に話を打ち切っちゃうし。なんかちっとも以前みたいにお互いの気持ちを話すことが出来ないんだ』
ブルーノの話は数分にわたって続いた。
蒼は終始、黙って耳を傾ける。
そして、それは自分たちの関係にもいえることなのではないかと思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
590 / 869