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78.いつも一緒3
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ロビーのソファに座り、大きくため息を吐くブルーノ。
ぼんやりしていた。
自分はなにをしているのだろうか?
レオーネとのことをなんとかしようとしてきたのではないか?
そう思っていたのに。
本人を目の前にしたら恐くなった。
彼がへそを曲げていることは重々承知だ。
小さい頃から一緒にいるから、彼の気持ちは手に取るように分かるのだ。
だけど、今までとは違うってことに戸惑いが生まれていた。
いつも一緒にいるだけの関係だったのに。
どうしたのだろう?
なんだか彼の気持ちがよく見えない。
へそを曲げているのがわかっても、なんで曲げているのかが分からないのだ。
なにが原因なのだろうか?
レオーネのゼスプリ入賞?
自分がプロとしてデビューしたこと?
なにも分からない。
自分の気持ちも混乱しているので、とてもレオーネになにかを言うまでは行かなかった。
『ブルーノ』
自分を呼ぶ声に顔を上げると、そこには蒼がいた。
蒼はメモを握り締めている。
星音堂で話をした時に、泊まる場所を教えておいたから分かったのだろう。
『もう。ちゃんと話をするって決めたんじゃなかったの?』
蒼は軽く息を弾ませて、そのまま隣の椅子に座る。
『そうなんだけど……。レオーネの顔を見たらそんな気が起きなくなっちゃって』
『彼の気持ちが分からないの?』
『……』
『なんですれ違っちゃうかなあ。おれからしたら羨ましい限りなんですけど?』
『羨ましい』
『そうだよ。おれはどうあがいても圭の側で一緒のステージには立てないんだから。それはそれでいいのかなっても思っているけど……。ブルーノはいいじゃない。いつだってレオーネと一緒に音楽を作ることが出来るんだから』
それはそうなのだが。
『分かっている。それは分かっているんだ』
『じゃあどうして?』
どうしてブルーノは彼から離れたのか?
『離れているわけじゃない。ただ、おれとばっかりじゃレオーネの音楽が飛び出せない気がするんだ』
いつも一緒。
しかし、それは時にマンネリを生む。
『いつも一緒だから。同じようなものしか出来ない。レオーネはゼスプリで注目されて、今や国内のクラシック界注目度ナンバーワンなんだから。そんな彼が、いつまでもおれと仲良しごっこしてたんじゃ、いけない気がするし。だから、おれ。少し間を空けて別な仕事をしようと思って』
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