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81.不幸は突然に2
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今月号の市政だより。
紅葉の写真が大きく載っている。
中には行政からのお知らせが、イベント情報が満載だ。
結構面白い。
途中には星音堂だよりも掲載されている。
星野あたりが作っているのだろう。
今月のイベント情報のほか、星音堂手記が載っていた。
内容は『一つの嘘は更なる嘘を招く。嘘から生まれるものは嘘しかない……』。
そんなものだ。
なにか事件でもあったのだろうか?
苦笑しながら読み進める。
その内、自分の写真が載っているのにびっくりした。
明後日のガラコンサートのお知らせだ。
マスコミは嫌いだけど、こういうものは好ましい。
笑ってしまう。
出身がここだから。
ショルたちは小さく載っていて二の次。
主役は自分だった。
「ほら。けだも。おれだぞ。おれが載ってるぞ~」
隣で丸くなっているけだもに見せても反応はない。
蒼は知っているのだろうか?
知っていたらいろいろ言ってくるだろうに……。
蒼も忙しくて、市政だよりなんて見ている暇がないのかも知れない。
苦笑しつつ、市政だよりを一部抜いてテーブルの上に置く。
他に挟まっているのは……地域のお便りだった。
集会所のイベントのお知らせ。
町会の集まり。
そして、廃品回収の協力。
「廃品回収?」
今日だ。
しかもこれから。
廃品の提供でもいいし、回収作業自体にも手伝いが欲しいと書いてある。
「そうだな」
地域のものに参加するのも悪くない。
自分はこうしてここにいるのだから。
「よし」
練習はどこへやら。
圭は思い立ったらそく行動だ。
回覧板を抱え、玄関を出る。
そして、隣の家のポストに回覧板を放り込んだ。
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