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100.春1
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蒼が、忽然と姿を消してから、1か月が経った。
圭にとったら、半身をそぎ取られたくらい、ショックな出来事だった。
抜け殻のように彷徨っていた。
星音堂に行っても、誰も蒼の行方は知らない。
なにせ、理由すら、同僚たちは知らなかったのだから……。
水野谷と話したときに、彼だけが本当の話を聞いていたとのことだった。
ただ、プライベートな問題もあるし、星野たちに自分の聞いた情報を伝えるつもりはないと言われた。
星野だけはお世話になったことだし。
圭から、事情は説明をした。
「そういうやり方は気に食わねーな」と言った星野は、圭に協力をしてくれると約束した。
星音堂に顔を出したとき、三浦も抜け殻みたいになっているのを見かけたが、置いてきぼりを食らったもの同士、慰めあう必要もない。
圭は特に声をかけずに帰ってきてしまった。
星音堂の情報収集が終わると、圭は熊谷家にも足を運んでいた。
熊谷家に一人で行くのは初めてだったが、今回は、そんなことを言っている場合ではない。
なんの躊躇もなく、足を踏み入れることができた。
圭は、空と栄一郎に面会したが、二人も困惑している様子があった。
圭から蒼の事情を聴いた二人は顔を見合わせていた。
そして、空からは、自分の過去についての話を聞かされた。
彼女は終始、「そんな人ではなかったのだけれど……」と繰り返すし、栄一郎は「そういう立場の人だから仕方がないんだよ」と話していた。
羽根田章の事情なんて知りたくもない。
圭は足早に熊谷家を出た。
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