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102.社会人5
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「おい、聞いているか?」
星野の声にはっとして顔を上げる。
結局。
仕事には顔を出した。
なにがあるって訳でもないけど。
新人の自分が休むのは気が引けたからだ。
「はい……」
星野はふむと息を吐いてから、手を上げる。
「課長!ここに具合の悪い人がいるんですけど」
「ほ、星野さん!」
こっそり具合悪くしていたのに。
そんな、大きな声で……。
水野谷は読んでいた書類から視線を上げる。
「なんだ。篠崎か?」
「だ、大丈夫なんです」
「そんなこと言っている場合じゃないだろう?熱、測ったのか?」
星野がいう。
「いえ……」
「バカ」
すると、三浦がさっと体温計を出してきた。
「これで」
「す、すみません」
篠崎はおどおどして体温計をはさんだ。
熱はあっという間に39度を上回る。
「おいおい。お前、バカじゃないの?」
氏家は笑う。
「よくこんな状態で仕事やっているな」
吉田もあきれた。
高田は、自販機に行って、水分を買ってきてくれたようだ。
頬にそれを当てられると冷たくて気持ちがいい。
「早退だな」
水野谷はふむっと頷いた。
「そうそう。病院に行って帰ったほうがいいぞ」
星野も心配そうだ。
「おい。三浦」
水野谷の声に彼は顔を上げる。
「お前、教育担当だから。こいつを病院によってから自宅に届けろ」
「え?おれがですか?」
「そうそう。外勤扱いにするから。一人暮らしだし。徒歩だし。大変だろう」
「でも、」
そんなことまでしてもらっては……。
しかも、今晩は、せっかくの飲み会だし。
「でも、おれ……」
星野は篠崎の言いたいことを察知したようで、苦笑している。
「飲み会は別な日にもできるだろう?大丈夫だよ。ともかく、病院寄って帰れよ」
「……」
三浦はせっせと荷物を準備して、篠崎のバックを持つ。
「ほら。帰ろう」
「すみません」
三浦に連れられて、篠崎は事務室から出た。
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